異世界の目覚め
それから、どれくらい経ったのだろうか。
俺は変な夢を見た。
広大な大地が広がり、そこに猿のような生物が歩いている。
かと思うと、猿達は火を使うようになり、家を立て、狩りを始める。
そのうち、猿達は明確に人間になり、様々な建物を立てたり、武器を作ったりして戦争が起きたりした。
それもそのうち終わってしまって、ようやく俺がゲームで見たことが在るような中世ヨーロッパ風の街並みが広がってきた。
「ニト君。起きて」
ウェスタの声が聞こえて来た。そこで俺は目を覚ます。
「あれ……ここは?」
「できたよ。君が望んだ世界がね」
俺は慌てて飛び起きる。そして、大きく目を開いた。
「なんだ……これ」
周りを見てみると、そこには先ほど夢で見たとおりの風景が広がっていた。
つまり、中世ヨーロッパ風の街並みがそこには広がっていたのである。
「マジかよ……え、なにこれ?」
「なにこれ、って……これが君と僕が創った世界さ。世界を創造してからざっと千年くらい経っている。丁度、君が望んだ通り、中世ヨーロッパ風の時代になっているね」
「すげぇ……でも……」
「でも、なんだい?」
俺は少し周囲をもう一度よく見回した。
なんだか……本当に中世ヨーロッパそのものであるような気がする。
俺の考えた異世界的な設定が反映されているのか少し心配である。
「ふふっ。ニト君はわかりやすいなぁ」
と、俺が何を考えているのかわかったのか、ウェスタは苦笑いしながらそう言った。
「だって……これじゃわからないじゃないか」
「そう言うと思ったよ。ほら、立って。ちゃんとこの世界が君の住んでいた世界とは違う異世界だということを証明してあげるよ」
そういってウェスタは俺の手をひいて歩き出した。
俺は未だに半信半疑だったが、大人しくそれに付いて行くことにした。