表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/100

嫉妬する聖女 7

「う、ウェスタ……」


「やぁ、ニト君。久しぶり……ではないね」


 ウェスタはいつもの調子で俺にそう言ってくる。


「お前……一体どういうつもりだ?」


 俺がそう聞いても、ウェスタは相変わらずの様子でニヤニヤしているだけである。


「どういうつもりも何も……僕は女神だからね。聖女がいる所には現れる存在なのさ」


「……ちょっと待て。タルペイア。アンタにはコイツの姿が見えるのか?」


 俺が訊ねると、タルペイアは何を言っているのかと言わんばかりの顔で俺を見てくる。


「当たり前です。聖女たるもの、神の姿も見ることができないようでは、聖女とはいえませんからね……もっとも、女神が私に姿をお見せしたのは、ごく最近のことですが」


 タルペイアには見える……イリアには声しか聞こえないのに。


 なぜだ? そもそも、このタルペイアという女は一体なんなのだ?


 どうして俺のことを創造神だと知っている。それになぜウェスタの姿が見える?


「動揺しているね。ニト君」


 嬉しそうにウェスタはそう言う。俺は思わずウェスタを睨みつけてしまった。


「お前……そもそも、聖女はイリアだけじゃなかったのか?」


「そうだね。確かに、ウェスタの聖女は現在、彼女1人だ。でも前に言っただろう? ウェスタの聖女になるにはそれなりの準備が必要だ、って」


 確かにウェスタはそう言っていた。神の声を聞くことが出来るか、聖女としてふさわしいかどうかの判断をウェスタ教会が行うのだ、と。


「ああ……イリアはそれをクリアして聖女になったんだろ? だったら、この世界にはイリアしか聖女は……」


 俺はそこまで言ってから、とんでもないことに気付いた。


 待て……ウェスタはこうも言っていた。多くの少女たちの中から1人の聖女を選び出すのだ、と。


 その中にはイリアのように聖女として選ばれた存在がいるならば……選ばれなかった存在だっているはずだ。


 俺は今一度タルペイアのことを見る。タルペイアはウェスタと同じように、邪悪に微笑んでいた。


「ええ。そうです。私は女神ウェスタに選ばれなかった聖女ですよ。創造神ニト」


 ニンマリと微笑みながら、タルペイアは俺に向かってそう言ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ