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憤怒の騎士 4

 扉を開けると、そこにあったのはまたしても荒れ果てた部屋だった。


 しかし、他の部屋と違って倍以上に広い……やはりここが城主の間っていうか、玉座の間……のようである。


「ニト、アレを見ろ」


 と、イリアが俺に呼びかけ、前方を指さす。


 イリアが指差す方向には2つの玉座が見えた。


 1つは誰も座っていない玉座だ。こちらは問題ない。


 問題はもうひとつだった。


「……鎧?」


 椅子には鎧が座っていた。酷く寂れたその鎧は、剣を床に突き刺すようにして椅子に座っている。


「あれが……改宗対象なのか?」


 不安げに俺に訊ねるイリア。俺に聞いてどうする。


「……そもそも、人間なのか?」


「さぁ……わからないが、行かねばなるまい」


 そう言うとイリアは腰元からレイピアを抜き、高くかかげる。


「聞け! 私はウェスタの聖女だ! 貴様はニト教を信奉する者か? 聖女としてお前に改宗を命ずる!」


 イリアの張り切った声だけが、部屋の中に響いた。すると、鎧はまるで油の切れたロボット人形のように、ゆっくりとだが、立ち上がった。


「うおっ……生きてるのかよ」


 思わず俺はそう言ってしまってからイリアを見る。イリアも不安そうな顔で俺を見る。


『……ウェスタァァァァァ!!!』


 と、いきなり鎧が大声で叫んだ。


 叫ぶ……というより、その声は鎧の中から聞こえて来ている怨念のように感じられた。


 俺もイリアも思わず耳を塞いでしまった。


『……カエセ』


「え?」


『……カエセェェェェェ!』


 すると、それまで予想もできなかったレベルの早さで鎧はこっちへ一直線に走ってきた。


「イリア!」


 俺の呼びかけで我に帰ったのかイリアは剣を構える。すると鎧はそのまま錆びついた剣を振り上げ、一気にイリアの剣に向かって振り下ろした。

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