強欲な神父 7
「ああ。そうだ。よくわかったね」
「フフッ……いえ。こういう仕事をしていると良い人、悪い人の区別がつくようになってくるのです。先程の聖女様は、純粋な人だ。純粋ゆえに苦しんでいる……誰かの助けが必要なんです」
そう言うと神父は険しい眼差しで俺とウェスタを見てきた。
「アナタ達が何者なのかはわかりませんが……どうか、あの聖女様に手を差し伸べてあげてくれませんか?」
「……僕達が? なぜ? そんな義務があるのかい?」
ウェスタはまるで小馬鹿にしたようにそういう。
神父は険しい顔のままで俺とウェスタを見ていた。
「あ……な、なぁ、おっさん。俺達でも、イリアを……聖女を救えるっていうのか?」
と、俺が思わず口を開くと、ウェスタが不機嫌そうに俺のことを見ていた。対照的に神父は嬉しそうに微笑んだ。
「ええ……アナタ達にはそれだけの力がある……違いますか?」
なんだか俺はそう言われて嬉しくなってしまった。
自分が創造した世界であるにも拘らず、そこに住む人間にそんな優しい言葉をかけられたのが、たまらなく嬉しかったのだ。
「よ、よし! ウェスタ、さっさとイリア追うぞ!」
「え……ニト君……」
「なにグズグズしているんだ。さっさと行くぞ!」
神父の言葉を受けて急にやる気担った俺は乗り気でないウェスタを引っ張り、そのままイリアの後を追ったのだった。