聖女への同行 4
「聖女様。でも、この人、まだ迷っているんだよ」
と、ふいにウェスタはそんなことを言い出した。
「何? 何を迷うことがあるんだ。女神ウェスタの教えは聖なる教え。ニト教は邪教。迷うことなど何もないぞ」
「でもね、やっぱりウェスタの聖女ってのがどういうことができるのかを見たいんだって」
ウェスタは悪びれることもなく適当なことをどんどん捲し立てていく。
隣で聞いている俺の方がどうにも不安な気持ちになってしまった。
「……それは、つまり、どういうことだ?」
怪訝そうな顔つきでイリアは俺を見る。
「つまりね。この人、聖女様の巡礼の旅を見てみたいんだってさ」
「え……お、おい!」
思わず俺はウェスタを見る。しかし、ウェスタは小さくウィンクするだけだ。
その次に今度はイリアを見る。イリアは渋い顔で俺のことを見ていた。
「え、あ……その……ダメ……ですよね?」
俺が苦笑いしながらそう言うと、金髪の少女は凛々しい顔で俺をキッと睨みつけた。
さすがに不味かった……俺がそう思った時だった。
「……本来ならば巡礼の旅は1人で行くのが原則なのだが、付いてきたいのならば付いてくるがいい」
そういってイリアは歩き出してしまった。
俺は予想外の展開に呆然としてしまう。
「……え? これって、OKってことなの?」
隣のウェスタに呆然としながらも、俺は間抜けに聞いた。
「う~ん……まぁ、OKなんじゃない?」
「え……いいのかよ。こんな簡単で……」
「まぁ、イリアが純粋で素直なことに、感謝するべきだね」
そう言ってウェスタはイリアに付いて行ってしまった。
仕方ないので、俺もその後に付いて行くことにしたのだった。




