聖女への同行 2
「……うん。まぁ、いいんじゃないかな」
特に難色を示すこともなく、ウェスタは素直に頷いた。
「え……い、いいのかよ?」
「うん。別に問題はないさ。最初に言っただろう? ニト君が飽きるまでの旅だ、って。だから、構わないよ」
あまりにも簡単に許可されてしまったので、俺としても拍子抜けしてしまった。
……まぁ、考えてみれば、ウェスタにとってはイリアもこの世界の1つの存在に過ぎない……むしろ俺のように一々気にしている方が可笑しいのかもしれない。
でも、果たして俺が一緒に旅をしただけで、イリアを危険から守れるものなのだろうか?
今よりはマシになるかもしれないが……あまり変わらないような気もする。
「そうと決まればさっさとイリアの所に行った方が良いよ」
「え……なんで?」
「イリアは今傷心中だ。支えとなる誰かを必要としている。一緒に旅をすることを申し出るならば、今がいいよ」
そういってウェスタはニッコリと笑う。
なんだか、コイツはなんでも打算的というか、合理的というか……神様らしいといえば、そうなのだろうが。
「そ、そうか……まだ娼館にいるのか?」
「うん。さぁ、早く娼館に戻ろう」
そういって俺とウェスタは急いでカロン娼館へと戻ることにした。
走った……といっても、大した距離ではなかったようですぐにカロン娼館の入り口は前方に見えてきた。
「あ」
そこには、既に俯いて悲しそうなオーラを全開にさせたイリアが、トボトボと歩いているのが見えたのである。
「え、えっと……どうしよう?」
俺は思わずウェスタにたずねてしまった。
「簡単さ。行って、一緒に旅をさせてくれ、と言えばいいんだ」
「え……それで大丈夫なのか?」
「ああ。僕も一緒に行ってあげるから」
そして、半ばウェスタに無理やり強制される形で、俺達は悲しそうに歩いているイリアの方に近づいていったのだった。