色欲の館 7
しばらく時間が経った。
「お待たせしましたぁ~。イリアちゃんです~」
と、受付の女の子が帰ってくきて……その背後には、恥ずかしそうに俯く少女がいる。
金色の髪に緑色の瞳……鋭い顔つきは女騎士のままではあるが、着ている服があまりにもそれとかけ離れていた。
いつものように鉄製の胸当てではなく、着ているのはゲームやアニメで出てくる「エッチな踊り子」が切るような露出度の高い薄手の服だった。
……というか服というよりも、ただの布だったのである。
もちろん、童貞の俺にはそんな格好の美少女は大ダメージだったわけで。
「え、あ……ど、どうも……」
俺は意味もなくイリアに向かって頭を下げてしまった。イリアは恥ずかしいのか、受付嬢の背後から動こうとしない。
「えっと~、お客様~。今日はイリアちゃんの初めての御仕事に日なので、料金はダタ、ですよ~」
「え……た、タダ!?」
「はい~。何をしてもただです~。さぁ、お部屋はこちらです~」
そういって受付嬢の女の子は娼館の奥に進んでいく。
何をしてもタダ……そんな言葉に俺の頭は完全に支配されてしまった。自身がこの世界の神であることも忘れ、イリアの方を見る。
「ひっ……」
イリアは俺の視線を感じてたか、胸と股の間を手で隠す。
それを見て、俺は我に返った。そう。俺は神なのだ……イリアを助けるためにやってきたというのに……
「お客様~? イリアちゃ~ん? こっちですよ~」
受付嬢の呼ぶ声で、俺とイリアはようやく娼館の奥に進むことにした。
「あ……え、えっと……大丈夫?」
間に堪えられなくなった俺は、思わずイリアに話しかける。
するとイリアは、まるで親の敵を見るかのような目つきで俺のことを睨んできた。
「……外道が」
そして、吐き捨てる様にそう言った。せっかく助けに来たというに、酷い言われようである。
「いいかい、ニト君。我を忘れて暴走しちゃダメだからね」
と、頭のなかではウェスタの声が聞こえて来た。
「……はいはい。わかってるよ」
少し不機嫌ながらも、俺はキチンとそう返事したのだった。




