表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/100

暴食の村 3

「……ん? なんじゃ? 扉が勝手に開いたぞ……」


 村長が扉が開いたのに気付いてこちらにやってきたので、俺達は慌ててそこからどいた。


「え……イリアは?」


「うーん……たぶん、この村長が知っているはずだよ」


 そして、村長は扉を閉め終わると、それまで座っていた椅子に座り直した。


「ふ……ふふっ……あははっ!」


 と、村長はいきなり狂ったように笑い出した。俺もウェスタも同時に驚いてしまった。


「な、なんだ……?」


 村長はしばらく笑った後で、なぜかじゅるりと舌なめずりをした。


「聖女か……ウマそうな身体をしておったわい……どこから喰ってやろうかのぉ……腕か、足か……楽しみだわい」


 村長はニヤニヤしながら、とんでもないことを口走った。俺とウェスタは顔を見合わせる。


「……えっと、これって……」


「うーん……あんまり考えたくないけど、この村長さん、ちょっと特殊な食事を好む人だったみたいだね……」


「お、おい! どうすんだよ! イリアはどこいったんだ!? まさか、もう食われちまったんじゃ……」


「まぁまぁ、落ち着いて。村長の言葉を聞いただろう? まだイリアは食べられてないみたいだよ」


 ウェスタに言われて俺は正気を取り戻す。


 それにしても、一つ目からなんていう場所にやってきてしまったのか……まさか、ここで食べられて終了ってことじゃないんだろうか?


「さて……今日は明日のごちそうに備えて、早く寝るかのぉ……年を取ると眠くなるのが早くなって仕方ないわい……」


 そういって村長はそのままベッドに入ってしまった。


「え……ど、どうすんだよ!? 村長寝ちまったぞ?」


「落ち着いて、ニト君。村長は特殊な食事情を持った人とはいえ、老人だ。イリアを長時間運ぶことはできないはず。何より、僕達は家の前に待っていたけど、村長が家から出てくるところを見ていないよ?」


「そ、それじゃあ……イリアはどこにいるんだよ?」


 すると、ウェスタは得意気にニヤリと微笑んだ。


「つまり、イリアはこの家のどこかにまだいるってことだよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ