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暴食の村 2

「はぁ……仕方ない。しかし、こんな寂れた村、信奉者がたくさんいるとは思えないんだが?」


「そうだね……あの老人、なんか怪しいね」


「怪しい? 怪しいっていうか……ガリガリすぎだろ。大丈夫かよ?」


 そう言っている間にも村長とイリアの会話は進んでいるようだった。


「それで……ワシはどうすればよいのでしょうか?」


「簡単だ。村人全員、ウェスタ教に改宗しろ。この聖なる炎の前で信仰を告白すれば、お前たちも女神ウェスタのご加護を受けることが出来るだろう」


 自信満々に老人にランタンを見せて、そう言い放つイリア。


 なんだか、いきなりやってきて押し付けがましい宗教勧誘みたいだ。


「……わかりました。では、聖女様。ひとまず家の中へ。御食事を用意します」


「何? 必要ない。私は一刻も早く巡礼を完了させる必要があるのだ。こんな所でグズグズしている暇はな――」


 そこまで言おうとした瞬間、イリアの腹から大きなぐぅ~という間抜けな音が響いた。


「あ、あはは……空腹のようですのぉ……どうぞ。ろくなものはありませんが……」


「し、しかし……」


「大丈夫ですじゃ……ワシは既にウェスタ教に改宗することを決意しました……どうぞ……」


 老人の強い推しに、イリアも折れてしまったのか、そのまま家の中に入っていってしまった。


「お、おい。大丈夫かな?」


「うーん……少し待ってみようか」


 俺とウェスタはそのまま村長の家の前で待つことにした。


 しかし、いくら待っても、家の中から村長も、イリアも出てくることはなかった。


 すでに日は暮れかけており、夕方になっている。


「……おいおい。大丈夫かよ」


「うーん……ちょっと不味いね。家の中に入ろう」


「え……入れるの?」


 ウェスタは俺の質問には答えず、そのまま家の扉を開ける。


 すると、家の中には村長しかなく、イリアの姿は見えなかった。

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