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巡礼への旅立ち

「おいおい……マジかよ?」


 俺とウェスタは先程から大聖堂を出て、前方の女騎士の背後をついていっていた。


「うん。マジだよ。彼女に同行することが、この世界を知る一番手っ取り早い方法なんだ」


「……はぁ。よくわかんねぇけど、俺達神様なんだろう? 別にアイツの旅に同行しなくていいんじゃねぇの?」


「まぁ、いいじゃないか。ずっと一緒についていくわけじゃない。ニト君が本当に嫌になったら僕も諦めるからさ」


 ウェスタの言葉に俺は納得できなかったが、確かにあの聖女が一体何をしようとしているのかは、俺にも気になるところである。


「でもよぉ……俺、アイツの保護者じゃねぇんだけど……」


「何を言っているんだい? 僕達は神だよ? この世界に生きるあらゆるものが、僕達の子供みたいなものなんだ」


 「僕達の子供」という言葉で少しぎょっとしたが、どうにもウェスタはこれ以上何を言っても譲歩する気はないようである。


「……仕方ねぇなぁ……で、7つの巡礼地ってなんだよ?」


「うーん……それは、まぁ、付いて行けばわかると思うよ」


 結局何もわからずに、ウェスタの言う通り、俺達二人はイリアの後を着いて行くことにした。


 イリアはずっと右手に神祇官に手渡されたランタンを持っている。そのランタンの中では煌々と弱まること無く炎が燃え盛っているのが分かる。


「で、巡礼地までどれくらいなんだ?」


「そうだねぇ……まぁ、巡礼の旅は歩きで進むらしいから、ざっと一週間くらいはかかるだろうね」


「はぁ? 一週間!? ふざけんなよ! そんなずっと歩いていたら疲れて死んじまうだろ?」


「あはは。大丈夫。僕達は神様なんだから疲れたりしないよ。ただイリアの後をついていけばいいだけなんだ」


「はぁ? ホントかよ……」


 俺は納得出来ないまま、先を行くイリアの背中を見る。すると、いきなりイリアが振り返った。


「え……な、なんだ?」


 俺が驚いていると、イリアも不審そうに辺りをキョロキョロと見回している。


「……誰かに見られているような気がしたが……気のせいか?」


 そう言ってから少し不思議そうに頭をひねりながらも、イリアは歩くのを再開した。


「え……アイツ、俺達に気付いているんじゃないか?」


「ふふっ。さぁ、どうかな?」


 何故か嬉しそうな顔でそういうウェスタ。


 まったく……寝て起きて見たら世界は出来ああっているし、わけのわからない宗教的な旅についていかなければいけなくなるし……完全に置いてけぼりを食らっている感じはある。


「ったく……なんで神様なのに自分の世界のことわかってねぇんだよ……」


 俺が不満全開でそう言ってみても、ウェスタは笑っているだけだった。

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