突然の異世界転生 1
「……はぁ」
もう、これで何日目だろうか。
パソコンの前に座り、俺はボォっと画面を眺めていた。
特にやることもないし、やろうとする気もない。
生きているけど、死んでいる状態……まるでゾンビみたいな状態である。
「……異世界、ねぇ」
俺は先ほどからはやりのネット小説を読んでいた。
主人公が異世界に転生して、そこの異世界で活躍するという話である。
ふと、異世界に行けば……なんて思うが、俺が活躍できるとは思えない。
なにせ、異世界がこの世界と違う保証なんてないのだ。
そうなるとその異世界で俺がうまくやっていけるなんて保証はない。
「……そうだ。一から世界を作りなおせばいいんだ」
俺は半笑いを浮かべながら思わずそう呟いた。
……何を言っているんだ。そんなこと、できるわけないじゃないか。
「ふぅん……じゃあ、もし、それが可能だとしたら……やってくれるのかな?」
「……へ?」
思わず俺は辺りを見回した。
……声が聞こえたのだ。
誰かが俺に話しかけてきていた。
「……幻聴、じゃないよな?」
確かに最近不摂生だし、寝不足だ。俺は大きく欠伸をする。
時計を見て、深夜の三時だということを確認する。そろそろ両親も寝静まっている頃だ。
「……飯でも食ってくるか」
俺はそう言って立ち上がろうとした。
しかし、その時だった。
「うおっ!?」
そこらへんに転がしておいた空き缶に足を取られ、俺は思いっきり後ろに倒れた。
そして、ゴンッ、と鈍い音が後頭部に響く。
おそらく俺は机の角に思いっきり頭をぶつけたのだろう。
「……え? あ、あれ?」
その瞬間、俺の身体は動かなくなった。
それだけじゃない。意識も朦朧としてきた。
え……これ、もしかして……
もしかして後頭部をぶつけ、運悪くそのまま死んでしまったのではないかと思ったその瞬間、俺の意識は強制的にブツンと途切れた。