real#5
何とか暴走したプログラムを止めて一息ついた村山は、少し慎重になりながらも再び作業に没頭した。
(……しかし、このままではいずれ餓死する)
彼は偶然も手伝って、今、ゲーマーがどの辺りにいるかがわかるゲージを発見していた。
だがそれからすると、まだまだ道中は始まったばかりで、このペースで行けばラスボスに会うまでには最速でも二週間はかかりそうだ。
ルーチンワークを機械に任せて、村山はじっともつれた糸を見つめた。
(……バイパスを造るか)
つまり、論理が絡まった紐状になっているのを幸い、今いる場所から正規の道以外に、もう一つ道を造ってそれを物語の終盤にいきなりつなげてやると言うことだ。
(……だが、それにはレベルが足りない)
村山もロールプレイングゲームは何度か経験したし、おもしろ半分に自分で作ったこともあった。
当然、レべルが足りないのに上の段階に進んだら、一発でパーティが全滅することぐらい予想はつく。
そうならないためには萌たちが通る道に、何かレべルアップのためのイベントを新たに設けなければならない。
(アイテムにするか、仕掛けを作るか)
村山は仮想空間でバイパス造りを始めながら、同時にレべル上げのアイテムに知恵を絞った。




