第79話 星霊剣士とお仕置きの時間
夜になると学院の本校舎は、一部の警備員などを除いて出入り禁止となる。だが、他にも例外となる人物はいる。
──学院長のアルフレッドである。しかし、それも当然だろう。何と言ってもここは、『彼の学院』なのだから。
だから、というのも妙な話だが、彼は昼間の喧騒が嘘のように静まり返った校舎内にいた。白霊術によるわずかな明かりを頼りに、足音を殺して廊下を歩く。
仕事を理由に学院内に残り続け、警備員の巡回の隙を狙って行動を起こした彼は、誰にも見咎められることなく目的の部屋までたどり着く。
保健室。その部屋の寝台では、今も暗愚王リゼルアドラが眠り続けている。
「……さすがに少し、気が進まないな」
言葉のとおり、彼はわずかに扉を開けるのを躊躇う。だが、そんな逡巡も一瞬のこと。意を決したようにゆっくりと扉を開け、中へと足を踏み入れた。そのまま、慎重に目的の寝台へと歩を進める。
「……いた」
彼の視線の先には、人形のように整った顔立ちの少女が一人、眠りについている。
「それにしても……これがあの時、僕らを苦しめた暗愚王とは思えないな。……ましてや、そんな彼女がリリアを助けてくれたなんて」
呟きながら、アルフレッドは寝台の少女に手を伸ばそうとした。
……が、その時だった。
「なに!?」
いきなり、目の前の少女が動いた。目を覚ましたのかと思ったが、そうではない。彼女の身体を奇妙な人影が抱え、持ち上げたのだ。
「何者だ!」
アルフレッドはとっさに『星霊剣レーヴァ』を構えるが、何故か白霊術の輝きで照らしても、その人物の顔には暗い影が差したままで判別できない。
「くそ! 彼女を楯にするなんて……」
その人影は声一つ発さず、保健室の窓から外に飛び出した。小柄な少女とはいえ、人ひとり抱えているとは思えないほどの俊敏さだった。
「待て!」
慌ててその後を追うアルフレッド。
「くそ! 何が狙いだ? まさか、また月界の『魔』が?」
様々な疑念が頭をよぎるものの、アルフレッドは必死に敵の影を追う。そして、ちょうどグラウンドの中央付近に差し掛かった時、逃げきれないと判断したのか、敵の動きが唐突に止まった。
「貴様は何者だ。どうして彼女を攫おうとする」
「……暗愚王は我らが王。星界の民などの手にゆだねるわけにはいかぬ」
「……ようやく返事をしたか。でも、言葉を話せるということは、お前、災害級だな?」
「……」
しかし、その影は、その問いには答えず、代わりに左手を挙げた。すると突然、アルフレッドの周囲に無数の『魔』の気配が出現する。
「いつの間に……」
見渡せば、現れたのはすべてが暗界の『魔』のようだ。以前見かけた石像の魔兵ガーゴイルなどもいる。ほとんどが戦術級にも満たない階位のようだが、いかんせん数が多い。
「この状況で、彼女を傷つけずに取り返すとなると……」
状況は厳しい。だが、アルフレッドは諦めるつもりはなかった。
「何故だ? 暗愚王は『魔』である。かつて星界を脅かした悪夢の王だ。それをなぜ、貴様が求める?」
人影からは、くぐもったような声が響く。
「……関係ないな、そんなこと。彼女が何者であろうと、どうでもいいことだ。彼女は、俺の大事な生徒を守ってくれた。ただ、それだけで十分だ。彼女はもう、俺の大切な仲間だよ」
アルフレッドは迷いなく断言する。生徒を危険な場所に送り込むつもりはない。だが、リゼルは助けたい。そんな彼が出した結論。それが自分ひとりで死地に向かうことだった。
「……ふふ。やっぱり、アルフレッド先生って……」
彼の言葉に応じて、人影の発する気配がわずかに和らいだ。しかし、アルフレッドがそのことを不審に思う間もなく、新たな気配が出現する。そして、あたりに響く、凛とした女性の声。
「発動、《閃光の流星弾》!」
視界を染める真っ白な閃光。降り注ぐ光の流星。それはアルフレッドを取り囲む暗界の『魔』の集団に次々と命中し、彼らを強制的に送還していく。
「よし! 良く言ったぞ! アルフレッド! それでこそ、わたしの仲間だ。任せておけ! わたしが助太刀してやろう!」
「アリアノート!」
宙に浮かぶ一人の少女。否、ハイエルフの女性。『白星弓の守護妖精』の二つ名を持つ彼女は、さっそうと空から舞い降りてくる。新緑の髪をなびかせ、深緑の瞳に喜びの輝きを宿して、アルフレッドの隣へと進み出た。
「どうしてここに?」
「決まっているさ。わたしもお前と同じことを考えたまでだ。ふふ! 奇遇ではないか。いずれにせよ、敵はまだ残っているようだ。さっさと片付けるぞ!」
「……ありがとう。アリアノート。やっぱり君は、最高の仲間だよ」
「ふん。よせ。照れるだろうが」
十年前の邪竜戦争で獅子奮迅の活躍をした五英雄。その中でも最年少組となるこの二人は、性格的にも良く似たところがあるのかもしれない。
「……えーっと、何でアリアノートさんがいるの?」
「いや、わかんね。アズラル先生が話したんじゃ……」
「まさか。僕だって彼女がこの手のことが苦手なのは知っていたし……」
「じゃあ、本当に偶然なんですの?」
リゼルを抱えた人影の近くでは、奇妙なひそひそ話が続いている。
「何をぶつぶつ言っている! わたしが来たからには、もう逃げ場はないぞ。観念するがいい!」
仁王立ちで宣言するアリアノート。
「……うわあ。目が輝いてるし、すごくいい台詞言っちゃってるよ。どうする?」
「いや、どうするも何も、このまま言うしかないんじゃ……」
「く、くふふ! だ、駄目だ。可笑しすぎる。ハニー……君はどこまで僕の予想を裏切ってくれるんだい?」
彼らの姿を隠蔽しているのは、ルーファスの白霊術である。ちなみに、リゼルを攫った人影はエドガーの『黒人形』であり、そもそもリゼルの姿をして眠ったふりをしている少女は、実は変貌の魔人メタモルフォーゼの能力で擬態したルヴィナだったりする。
「どうした? 怖じ気づいたか? 来ないならこちらから行くぞ?」
「ふふ。なんだか十年前を思い出すね。今なら誰にも負ける気はしないよ」
「奇遇だな。わたしもだ!」
いい台詞を交わし合う二人の五英雄に、ますますいたたまれない気持ちになってくる一同。エリザたち特殊クラスの元からの面々に加え、『魔』の召喚と『ルナティックミラー』による増殖を続けているネザク、さらにカグヤやアズラルと言ったメンバーは、お互いに『その役目』を押し付けあう。
「ほ、ほら、ここはやっぱ、言い出しっぺのカグヤがやるべきじゃないの?」
ネザクがカグヤの肩をつつけば、
「何言ってるのよ。こんな手の込んだ真似を考えたのは、アズラルでしょう?」
カグヤがアズラルを指し示す。
「いやいや、今この状況で僕がそんなこと言い出したら、ハニーが恥ずかしさで死ぬ前に僕を道連れにしそうな気がするよ? それこそ勇者、英雄の役回りなんだし、僕としてはエリザが適任だと思うけどなあ」
身震いしながらアズラルがエリザに話を振る。
「え? い、いやでも、さすがにあれは、何ていうか……だってあの二人、すっごくノリノリだよ? 今さら冗談でしたなんて……」
エリザは人に押し付けることなど思いつかないらしい。
だが、その直後のこと。世界に、一人の『勇者』が現れる。
「すみません、アリアノート様。実はこれ、先生に一泡吹かせようと皆で考えた狂言なんです」
「……え?」
凍りつく空気。一瞬の静寂。
「ルーファスゥゥゥゥ!」
「うおおお! 勇者だぜ!」
エリザは驚愕のあまり絶叫し、エドガーは称賛の声を上げる。
「……いや、あれって絶対、空気読んでないだけだと思うわ」
最後にルヴィナが変身を解除しながら、呆れたようにつぶやいた。
──状況説明終了。
「うあああああ! 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい! 駄目だ! わたしは死ぬ! 穴を掘る! どこだ! スコップはどこだあああ!」
「あははは! 恥ずかしがるハニーもとってもキュートだよ!」
「お前か! お前だな! お前が原因かあああ!」
アリアノートは顔を真っ赤にしながら叫び、アズラルの襟首を掴みあげる。
「特にあの、『ふん。よせ。照れるだろうが』は、最高だったよ! ああ、もう、永久保存版で記録しておきたいくらいだったね」
「よし! わたしは決めたぞ! お前をスコップにして、このグラウンドに穴を掘ってやるううう!」
「いやいや、ハニー。さすがにそれは、僕が死んじゃうんじゃないかな」
「死ねと言ってるんだ! このどあほおおおお!」
アリアノートの絶叫が続く。
「……さてと。言っておくけど、あんたは恥ずかしいくらいで済ませてあげるつもりはないわよ?」
カグヤは、何故かグラウンド中央で正座しているアルフレッドを見下ろしながら、ぞっとするような声をかける。
「い、いや俺は、その……」
「昼間は随分なことを言ってくれたわよねえ? 時間はあげるから良く考えろ? いったい……ど・こ・の・鳥頭が! そんなことをぬかしてくれやがったのかしら?」
「と、鳥頭って……」
「考えなしはあんたの方でしょうが。いつもいつもいつもいつも……そうやって自分さえ犠牲になればいいとかくだらない考えで、見え見えで下手くそな嘘までついて……」
「カ、カグヤ?」
「カグヤ? じゃないわよ! 話は黙って聞きなさい! 本当ならあと三時間は説教してやりたいところだけど……これだけは言っておくわ」
カグヤは掌でぐりぐりと彼の頭を押さえつけ、言葉を続ける。
「いい? あんたはね。馬鹿なの。人を信じることしかできない馬鹿で、後先考えるってことを知らない馬鹿で、人の心もわからないような馬鹿。ホントに筋金入りのどうしようもない馬鹿なのよ!」
「そ、そこまで言わなくても……」
「だから……あんたはもっと、他人を頼りなさい。どうせあんたは、一人じゃ何もできないんでしょう? 違う?」
アルフレッドの髪の毛をぐしゃぐしゃにするように、彼の頭に乗せた手を前後させるカグヤ。
「……うん。違わないね。カグヤの、言うとおりだと思う」
「……まったく、わかればいいのよ。わかれば。……次からはこんな手間、かけさせないでよね」
カグヤはアルフレッドの頭から手を離し、そっぽを向くようにして言う。
「おお、なんかあの二人、いい感じだね」
エリザはそれを見て、隣のネザクに肩を寄せ、囁くように声をかけた
「え? あ、う、うん。……でも、カグヤって素直じゃないからね。あれだけじゃ済まないかも……」
一方、彼女に頬が触れんばかりの距離で囁かれたネザクはと言えば、照れたように頬を赤くしている。
「え? そうなの?」
「うん。まあ、昼間もいろいろやってたみたいなんだ」
「いろいろ?」
「うん。後で教えてあげる」
声を低くして言葉を交わし合う二人。一方、カグヤの言葉には、ネザクの言ったとおり続きがあった。
「言い忘れてたけど、あんたにはわたしから、とっておきのお仕置きを用意しておいてあげたわ」
「お、お仕置き?」
「ええ。だからあんたはお留守番。わかった?」
「な、何を言ってるんだよ。君たちだけを危険な場所に行かせるわけには……」
「だから、これがお仕置きよ。あんたには、自己犠牲を『される側』の気持ちって奴を学んでもらう必要があるわ。そもそも、学院を守れそうな戦力がこぞってここを離れるわけにはいかないでしょう?」
現在においても魔王を受け入れた学院の立場は、四面楚歌とまではいかないにせよ、まだまだ油断ならないのが実情だった。
「……アズラルさん」
そのことがわかっているアルフレッドは、すがるような目で黒霊賢者を見る。
「そんな目で見るなよ、親友。僕は『安心』しろって言ったはずだぜ?」
アズラルは、胸を張って任せろとばかりに言う。
「そ、そうですよね。アズラルさんが護りを固めてくれれば……」
ほっとしたように言うアルフレッド。
「そう! 君と僕の二人が揃えば、学院の護りは完璧さ!」
「そんな……」
意地悪く宣言するアズラルに、がっくりと肩を落とす。そんな彼に、慰めるような声をかけたのはアリアノートだった。ようやく先ほどの『羞恥地獄』から復活を果たしたらしい。
「心配するな。代わりにわたしが彼らに同行しよう。……も、もともと、わたしだって、そのつもりだったんだからな!」
「ああ、言い訳する姿も可愛いよ。ハニー」
「く、ううう! 死ね!」
アリアノートは顔を真っ赤にしてアズラルへと掴みかかるが、動揺しているせいか、ひらりとかわされてしまう。
「これはあんたの自業自得よ。昼間の自分の態度を思い出して、よーっく反省することね」
「……カグヤ。無理だけはしないでくれ。こんな形で君と死に別れするなんてことになったら、それこそ俺は……自分で自分を許せなくなる」
「……」
真剣な目で見つめてくるアルフレッドに、一瞬鼻白んだ様子を見せたカグヤだったが、すぐに気を取り直したように意地悪そうな笑み浮かべる。
「縁起でもないことを言わないでよね。……それに、わたしの心配をしている場合じゃなくなるかもしれないわよ?」
「え?」
カグヤの意味深な物言いに、アルフレッドは怪訝な顔をした。
「ま、明日を楽しみにしていなさいな」
最後にそう言い残し、カグヤは他のメンバーとともに出発の準備を整えると、夜陰に紛れて学院を抜け出したのだった。
──そして、翌日。
アズラルと共に学院に残ることになったアルフレッドは、カグヤの言い残した言葉の意味をすぐに思い知らされることになる。
「うう、どうしてこんなことに……」
学院長室の執務机に肘を着き、頭を抱えて唸るアルフレッド。部屋の外からは、集まった群衆からの『シュプレヒコール』が聞こえてくる。
「我々、『ネザクファンクラブ』一同は、学院長先生に正式に抗議を申し入れるものである!」
集団の先頭で鉢巻を着け、声を張り上げる少年は、ネザクファンクラブ会員番号1番のクリスだ。
「ネザクくんの退学に反対! 学院長の横暴に反対! 当学院に『ネザクくんのある生活』を!」
クリスの横で掛け声を統一するための立札を持ち上げ、皆に示しているのは、同じく頭に鉢巻を締めた、ファンクラブ会員番号2番の少女、レナだった。
よく見れば立札や横断幕の中には、『カグヤ先生ラブ』といった、少々趣旨を誤解しているのではないかと思われる文言まで書かれている。
ちなみに現在、学院長室にエルムンドの姿は無い。彼はエリックと二人でこのデモ行進の混乱を収束させるため、校内中を駆けずり回っていた。
「カグヤ……君って人は……」
ごく限られた関係者のみで行われていた会合の中身が、ここまで校内全体に広まっているのは、まず間違いなく『黒の魔女』の仕業だろう。それもかなり歪んだ形で広められたに違いない。鳴り止まぬ抗議の声に頭痛をこらえながら、アルフレッドは泣きたい気持ちになっていた。
だが、彼の苦難はこれだけではない。彼が頭を抱える最大の原因。それは今もなお、学院長室の応接ソファに陣取る人物たちだ。
「なるほど。息子の退学の話が誤報だったということはわかりました」
齢四十を超えてもなお衰えぬ美貌を能面のような無表情に固めたまま、ミリアナはアルフレッドへと視線を向ける。もちろん、彼も本来なら来客がソファにいるなら自分も相向かいに座るのが礼儀だとは思っている。だが、今の彼女の正面には、間違っても座りたくない。
「では、わたしの息子は、どこに行ったんでしょうね?」
「あ、い、いや……そ、それは……」
氷の刃で身を切られるような感覚。彼女の銀の瞳には、感情らしきものが微塵も見えない。これがかつては、母のように慈愛の表情で自分と接してくれた優しい女性と同一人物なのだろうか?
「先生……。わたし、もしネザクに何かあったら……死んじゃうかもしれません」
身震いするアルフレッドの耳に、新たな少女の声が響く。
「い、いや、イリナさん? ネザクなら大丈夫だから、あまり物騒なことは考えないでもらえるかな」
「うふふ、そうですか。良かったです。……このお部屋、とっても綺麗ですし、わたしの血で汚すのも、少しだけですけど、気が引けてたんですよね」
「怖い! な、何なんですか、この子!?」
アルフレッドは恐怖に怯えた目をミリアナに向けるが、彼女は変わらず無表情のままだ。そしてそのことが、より一層、彼の恐怖をかき立てる。
「イリナ。早まってはいけない。万が一、ネザクに何かあろうものなら、わたしたちには他にやるべきことがあるだろう」
そう言って視線をアルフレッドに向けてくるキリナ。その先は聞きたくない。そうは思っても、彼女の口を塞ぐわけにもいかなかった。
「この学院内に残る、ありとあらゆるあの子の痕跡を探すんだ。うふふ、あの子の触ったもの、あの子の座った場所、あの子の食べたもの、あの子と話をした人。根こそぎ全部、かき集めて、狩り集めて、ぎゅーっと抱きしめてあげないとな」
「やっぱりか! ミリアナさん、黙ってないで何か喋ってくださいよ! あなたの娘さん、二人そろって畳み掛けるように怖いんですけど!?」
もはや半泣き状態となったアルフレッド。そこにとどめの一撃ともいうべき言葉を発したのは、白いロングドレスを纏う蒼髪の女性、アクティラージャだった。
「ウフフ、わたくしは死霊の女王。世界はともかく、この学院を滅ぼす準備は整いましてよ?」
「この学院、四面楚歌どころか、身内にまで敵がいるのか……」
がっくりと肩を落として項垂れるアルフレッド。
「……ふふふ。まあ、このくらいで許してあげましょうか。イリナ、キリナ。それにアクティも、その辺にしておいてあげてちょうだい」
「はい、お母様」
「うん、お母様」
「ええ、お……お姉様」
三者三様の返事。少女二人と一体の『魔』は、その一言を境に、それまでまとっていた異様な雰囲気を脱ぎ捨てていた。
「や、やっぱり、俺をからかっていたんですね?」
「いいえ。これはお仕置きですよ。彼女から提案されるまでもなく、今回の件を聞いて、あなたにはお灸をすえてあげる必要があると思いましたから」
淑やかに笑うミリアナ。そんな彼女を見て、アルフレッドは深々とため息を吐く。
「わかりました。本当に反省してます。もう金輪際、皆を騙して抜け駆けするような真似はしません」
「ええ、わかればよろしい。ふふふ……実際、わたくしは何も心配していませんよ。ネザク自身もさることながら、何より……今のあの子には、エリザが付いているんですから」
ミリアナは、確信を持ってそう断言するのだった。
次回「第80話 少年少女とダンジョン探索」




