─少年魔王と英雄少女(邂逅編)─
エリザは駆ける。人混みの間を縫うように、時に建物の屋根から屋根を跳び渡るように、ひたすらシュリを追いかける。俊敏さで知られる金虎族の少女を相手に、エリザの速度は全く見劣りしていない。
「にゃにゃ! なにあの化け物! シュリは魔闘術の脚力強化まで使ってるのに!」
シュリは、どこまでも追いかけてくる赤毛の少女に戦慄を隠せないでいた。
「待てってば!」
「嫌だにゃん!」
間一髪、エリザの手がシュリの背中をかすめる。速度は同じでも、追われる側の精神的消耗は無視できないものがある。いずれは追いつかれてしまうだろう。
「うう……。ん? あれは?」
相手の目をくらませるため、何度となく方向転換を繰り返し、街中を走り回っていたシュリは、見覚えのある少年がとぼとぼと歩いているのを見た。
「た、助けてにゃん!」
ためらうことなく、シュリは少年の下に駆け寄り、その背中に隠れようとする。小柄な少年ではあるが、シュリも彼の強さはわかっている。自分を追いかけてくる怪物少女と渡り合えるのは、彼しかいない。そう思った。
一方、いきなりシュリに飛びつかれ、助けを求められたネザクは困惑していた。そもそも彼は先ほどまで、イリナとキリナ、それに護衛の兵士達に囲まれて街を練り歩かされていたところだったのだ。カグヤが言うには、『ルナティックドレイン』に必要な吸収源を増やすため、国のアイドルである二人の少女を引きつれて歩くことが効果的だとのことだった。
だが、ネザクはとにかく、この双子の少女が苦手だった。それはもう、リラやカグヤ以上に苦手かもしれない。なぜなら……
「ネザク。次はわたしに何をさせたい? 何でもいいのよ? わたしはいわば、ネザクの奴隷みたいなものなんだから」
嬉しげに笑いながら、とんでもないことを言ってくるイリナは怖い。
「君はわたしのものだ。わたしが君を一生護ってあげよう。だから、ネザク。わたしの言うことは何でも聞きなさい」
能面のような無表情で、情感たっぷりの声を出すキリナも怖い。
肉食獣に狙われる草食動物のような環境に耐えきれず、ネザクはトイレに行くふりをして一体の『魔』をこっそりと召喚する。それは、暗界第十四階位の『魔』、変貌の魔人メタモルフォーゼ。トイレの中で出現した銀の人形に軽く触れると、たちまちもう一人のネザクが現れる。
ネザクはそうやって途中から魔人と入れ替わり、どうにか自由を満喫していたところだった。そこへ助けを求めに来たのは、金虎族の少女シュリ。彼女は、ネザクにとって数少ない苦手意識を持たずに済む異性だった。初めて出会った時に自分の怪我を治してくれたのも好印象につながっているが、何よりシュリは、ネザクを猫可愛がりしないのだ。
「ど、どうしたの?」
「追われてるにゃん!」
ネザクの問いかけに、短く答えるシュリ。直後、燃えたぎる赤い火の玉のような何かが、砂埃を上げつつネザクの前に急停止する。
「やっと止まったか! 逃げ足の速い奴め!」
甲高い声で鋭く叫ぶ赤毛の少女。その勢いに圧倒されながらも、ネザクは改めて背中のシュリに声をかける。
「いったい何をやったの?」
「何もやってないにゃん……。でも、助けてくれないとシュリ、死んじゃう」
哀れっぽく助けを求めるシュリ。ネザクは、そんな彼女を背中に庇うようにして頷く。
「……大丈夫。シュリさんは僕が護るよ」
ネザクは真剣な顔のまま、力強く言った。
「ほんとかにゃ!? じゃあ、任せるにゃん!」
「え?」
言うや否や、シュリは再び走り出す。先ほどまでの力無い声は何だったのかと首を傾げたくなるほど、素早い動きだった。
「あ! 待て!」
エリザは当然、彼女を慌てて追いかけようとする。だが、その時だった。
「ここは行かせない!」
鋭く叫んだネザクは、走り出そうとするエリザの腰を抱え込むようにタックルする。
「うわ! 危な!」
それでも足腰の強さが違う。エリザは多少バランスを崩しはしたが、倒れることなく耐えきった。
「こら! 離せ! 逃げられちゃうじゃないか!」
初対面の少年に手荒な真似もできず、焦ったように声を荒げるエリザ。
「離すもんか! シュリさんは僕の大事な仲間なんだ! 殺させやしない!」
ネザクは普段の彼からは想像できないほど必死の形相で、エリザの腰にしがみついて離れない。
「あいつは泥棒なんだよ! だからあたしが……!」
「で、でも、泥棒ぐらいで、どうしてシュリさんが殺されなきゃならないんだよ! たとえ殺されたって、この手は離すもんか!」
ぐいぐいと少年の身体を引き離そうとするエリザに対し、ネザクはまったく力負けしていなかった。だが、両者の普段の腕力を考えれば、そんなことはあり得るはずがない。この時のネザクは、明らかに異常な力を発揮していた。
ほどなくして、エリザは大きく息をつく。
「たとえ殺されたって……か。うーん、わかった。あたしの負けだよ」
言いながら、諦めたように身体から力を抜く。
「え?」
彼女の腰にしがみついたまま、驚いてその顔を見上げるネザク。
「……かっこいいじゃん、お前。誰かのために命を張るなんて、なかなかできることじゃないぜ」
彼を見下ろすその瞳は、赤銅色の中に燃える炎の輝きを宿している。感心の眼差しを向けられ、ネザクは呆けたように固まっていた。
「か、かっこいい? 僕が?」
「うん。すごくね」
少年がおうむ返しに発した言葉に、満面の笑みで応じる少女。
ネザクは女性陣から『可愛い』と言われたことはあっても、こんな風に真正面から『かっこいい』などと言われたことはなかった。だからだろうか。彼は、それが嬉しかった。感動した。感激したと言ってもいい。とにかく今までにないほど、ネザクは少女の言葉に感銘を受けていた。
「な、なあ……」
「え?」
「もう追いかけないからさ。離してもらっていいか?」
言われて、ネザクは自分の体勢に気付く。小柄な少女の腰にまわされた腕。密着する身体。彼女は暑さのためか、膝丈のズボンをはき、袖なしの下着に半袖の上掛けを羽織っている。
ぼんやりと彼女の瞳を見上げるネザクは、あることに気付く。
「なんだよ、まだ疑ってるのか? でもほら、いい加減あいつも見失っちゃったしさ。だからそろそろ……」
往来のど真ん中で少年に抱きつかれているという構図に、恥ずかしさを覚え始めたエリザは、わずかに頬を染めている。
だが、ネザクはそれどころではない。彼女の瞳の中に炎の輝きが見える──などというのは、比喩でもなんでもなかったのだ。そこに映っているのは、彼自身の紅い瞳の輝きだった。
すなわち、『ルナティックドレイン』。
「う、うわああ!」
慌てて飛び離れるネザク少年。少女の服装は肌の露出も多く、間違いなくネザクの肌とも接触していたはずだ。ということは、つまり……
「な、なんだよ? 突然どうした? 大丈夫か?」
心配そうな顔で近づいてくるエリザ。
「え? え? 君、大丈夫なの? なんで死なないの?」
「はあ? いや、何で死なないのって……変なこと言う奴だな」
エリザはきょとんとした顔をしている。
「感情が高ぶったから封印が解けちゃったんだ……。でも、だったらどうして、彼女は平気なんだろう?」
周囲を見渡せば、通行人たちが気持ち悪そうな顔で胸を押さえているのが目に入る。なのに、この少女はどこ吹く風だ。そもそも今の状態のネザクに直接触れれば、星界に存在するあらゆる生き物は、絶対に死を免れない。そのはずだった。
「うーん、とにかく場所を移そうぜ。お前とあの泥棒……えっと、シュリだっけ? の関係も聞きたいしさ」
エリザのそんな申し出に、ネザクは反射的に頷きを返した。同時に気を落ち着けて、『ルナティックドレイン』の効果を鎮めるよう意識する。封印とまではいかないにしても、どうにか周囲への影響くらいは抑え込む必要があった。
──二人が場所を移したのは、城下町の外れにある小さな公園だった。
木陰のベンチに腰を掛け、あらためて口火を切ったのはエリザだった。
「ごめんな。こんなところまで来させちゃって。さすがにあの往来だと、ちょっと恥ずかしかったからさ……」
なんとなく決まりが悪そうに、頭を掻くエリザ。
「……ううん。僕の方こそごめんね。まさか、そんなことがあったなんて知らなかったし、てっきりシュリさんが殺されちゃうと思ったから……」
「いや、それはあの性悪泥棒猫娘が紛らわしいこと言ったのが悪かったんだろ?」
「シュリさんも悪気はなかったんだよ。……で、でも、しょ、性悪泥棒猫娘って……ぷ、くくく!」
エリザの言い回しがツボに入ったらしく、笑いの発作を必死に抑えるネザク。そんな彼をエリザは不思議そうに見つめている。
「お前って、ホントに不思議な奴だよな。見た目はなんていうか、……悪いけどすごく弱そうに見えるのに、さっきみたいに強くて、かっこいいところもあるしさ」
「ははは。無我夢中だったからね。……って、えっと、そう言えば、まだ名前も聞いてなかったような……」
「ん? ああ、そうだったっけ?」
少年と少女は二人、顔を見合わせて笑いあう。町の外れのこの公園に来るまでの間、一応の情報交換を済ませながら歩いてきたはずなのに、お互いの名前さえ確認していなかったのだ。
特にネザクは、自分がまさかここまで初対面の相手と打ち解けて話ができるとは思いもしなかった。どころか、ずっと昔からの知り合いのような気さえしているほどだ。
「え、えっと、なんか改めて言うのもなんだけど、あたしはエリザ・ルナルフレア。よろしくな」
「エリザさんか……。すっごくいい名前だね」
「え? ……あ、ああ、あはは。ありがと。エリザでいいよ」
エリザは少年が何気なく口にした褒め言葉に、戸惑いながらも照れたように笑う。
「それで、お前の名前は?」
「え? あ、う、うん」
ネザクは迷った。自分の名は『魔王』として世に知られ始めている。その名を聞いて彼女がどう思うだろうか? それが心配だった。
「……えっと、僕はネザク。……ネザク・アストライアだよ」
それでも、目の前の少女に嘘をつくことだけはしたくなかった。本当のことを言わないぐらいならともかく、彼女に偽名や嘘偽りを語ることは、どうしてもできない。
「ん? ネザク・アストライアって……魔王とおんなじ名前じゃないか」
「う、うん」
ネザクがびくびくしながら頷くと、エリザは首を傾げながら言葉を続ける。
「まあ同姓同名なんて、探せばいくらでもいるもんな」
さすがに彼女も目の前のひ弱そうな少年が、魔王だとは思わなかったらしい。そんな風に納得されてしまった。
「え、えっと、エリザは、この街の人?」
とりあえず話題を変えるべく、問いかけるネザク。
「ん? いや、違うよ。……そうだ、ネザク。聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「なに?」
「実はあたし、五英雄のミリアナさんを探してるんだ。どこにいるか、噂話でもなんでもいいんだけど、聞いたことないかな?」
「え? ミ、ミリアナさんを?」
ネザクはもちろん知っている。だが、カグヤから口止めされてもいるのだ。少し逡巡した後、それでもネザクは口を開いた。
「え、えっと、見たことはあるよ」
「え? ほんとか!? やった! やっぱり、ミリアナさんは生きてたんだ! よかったあ!」
「わわ!」
感極まったように叫び、ネザクへと抱きついてくるエリザ。女性に抱きつかれるのはいつものことだが、エリザのそれは何かが違う。上手く言えないが、ネザクはいつも以上に慌て、どうにか抱きついてきた腕を解いた。
「あ、ごめんごめん。つい、嬉しくってさ。で、何処で見たの?」
「え、えっと……王宮の傍だよ。ただ、ちらっと見えただけで……」
「どこに行ったかまでは分からないのか?」
「う、うん。あ! で、でも、特に怪我とかもなかったし、凄く元気そうだったよ」
「そっか。本当に良かった……」
安堵の息をつくエリザ。そんな彼女の目の端に、じんわりと涙がにじむのが見える。ネザクはそれを見て、胸の中が掻き回されるような感覚を覚えた。
「エリザにとってミリアナさんって、そんなに大事な人なの?」
思わず、そんな言葉が口から出る。すると彼女は涙を拭い、はっきりと頷いた。
「もちろん! なんてったって、あの人はあたしを認めてくれたんだ。あたしなら、きっとすごい英雄になれるって言ってくれて、色々なことを教えてくれた人なんだ」
誇らしげに胸を張るエリザ。その姿は凛として勇ましく、彼女を見つめるネザクの心にも、清々しい涼風を送り込んでくる。
「……エリザって、英雄になりたいの?」
「おう! あたしはアルフレッド先生を超える、最高の英雄になりたいんだ」
花が咲いたように笑う赤毛の少女。
「ふうん……」
少年は、そんな少女の笑顔をぼんやりと見つめる。
それから二人は、ベンチに座ったまま色々な話をした。大半はエリザの話だ。彼女は自分が過去に読んだ英雄物語を臨場感たっぷりに説明し、その都度、それを読んだ時の自分がいかに感動したのか、そして、どれだけ自分が英雄というものに憧れを抱いているのかを、目を輝かせて話し続けた。
一方のネザクは、そんな彼女の笑顔を片時も目を離したくないとばかりに見つめていた。だが、最後には、急に表情に暗い影を落とし、眩しいモノでも見たかのように目を逸らす。
「そっか。すごいんだね。エリザは。夢があるって立派なことだと思うよ」
「そう? あはは。そんなに褒めないでくれよ。……ネザクには夢とかないの?」
「…………」
問われてネザクは言葉を失う。自分の夢は世界征服だ。でも、それは自分が考えたものじゃない。他人から言われて、とりあえずの目標にしているだけのものだ。
「あれ? 聞いちゃまずかった?」
「ううん。その……一応はあるんだけど、言いづらいんだ。人に言われて決めた目標だし、エリザみたいに胸を張れるようなものじゃないから……」
「何言ってるんだよ!」
エリザはネザクの肩をどやしつけるように叩いて笑う。
「いったた!」
「ああ、ごめんごめん。でもさ、最初に誰かに言われたからだとか、関係ないじゃん。いまこのとき、その目標を目指してるのはネザクだろ? だったらその夢は、ネザクのものだ。自分の夢に、恥じることなんかないよ」
「自分の、夢……」
心臓を撃ち抜かれたかのような衝撃だった。なんだかんだとカグヤに従い、流されるように生きていると思っていた自分。けれど、カグヤのせいだと言い訳をしながらも、彼女の言うことに自分自身が納得したからこそ、自分はこうして『魔王』となっているのではないか?
いつだって引き返せないわけじゃなかった。だから、ここまで進んできたのは、紛れもなく自分の意志だ。
「まあ、あたしの夢も、そう簡単には叶わないだろうけどね」
「え? 英雄になることが?」
「うん。あたしはね……邪竜を倒したアルフレッド先生を超えるため、『魔王退治』を目指してるんだ」
「ま、まおうたいじ?」
「そ。それができればあたしこそ、最高の英雄だろ? えっと、何が言いたいかって言うとさ。ネザクの目標って奴がどんなに困難でも、諦める必要なんかないって話だよ」
「そう……なのかな?」
「ああ、そうさ。あたしが言うんだから間違いない。だから、頑張れ」
屈託のない笑顔で笑うエリザに、ネザクは胸を締めつけられる。自分こそが、その魔王なのだ。もちろん、流石にそんなことが言えるはずもない。代わりにネザクはこう言った。
「でもさ、エリザ。もしもだよ? その夢って奴が、他の誰かの夢とぶつかったらどうするの? 誰かの夢を潰さなければ、自分の夢がかなわないとしたら? そんなの、嫌じゃない?」
「え? うーん、そうだなあ……それでもいいんじゃないか?」
「え?」
「むしろ、その方がいいよ。お互いの夢をかけて、正々堂々真っ向から勝負するんだ。そんでもって、たとえ負けても、相手の夢が叶ったことを喜んでやれるなら、それはそれで最高だろ?」
どこまでもポジティブな考え方をする少女に、少年は胸のつかえがとれたような気がした。そこまで行ってしまえば、いっそ愚直とさえ言えるのかもしれない。だが、それがいい。ネザクは思う。自分に足りなかったのは、まさにこれだったのだと。
「そうだよね。……うん。ありがとう、エリザ。僕、やってみるよ! がんばって、僕は僕の夢を叶える!」
「ん? なんだよ、急に元気になったじゃん」
「エリザのおかげだよ。ありがとう」
「いや、礼を言うのはあたしの方だよ。ネザクは、ミリアナさんが生きてることを教えてくれたんだからな」
そう言って、改めてネザクの手を掴んでくるエリザ。こんな風に馴れ馴れしく触られても、まったく嫌な感じがしない。むしろ心が浮き立つようだ。
「よし、それじゃ約束しようぜ」
「え、約束?」
「うん。お互い自分の夢を叶えるまで、最後まであきらめずに頑張ろうって約束さ」
「あはは。いいね。それ……」
約束事にしては漠然としすぎる物言いに、思わず笑ってしまうネザク。するとエリザは、少しだけ頬を膨らませて拗ねたように言う。
「あたしは真剣なんだぞ。男と男の約束だ。いいよな?」
「え? ……うーん、それは無理だよ」
「え? ここまで来て何だよその返事は!」
憤慨したようにネザクをにらむエリザ。ネザクは慌てて言葉を続ける。
「いや、だってエリザって男じゃないでしょ? いくら僕だって、こんなに可愛い女の子と『男と男の約束』はできないよ」
「か、かわいいって……」
思わず顔を赤らめるエリザ。彼女らしからぬことに、もじもじと下を向き、ぶつぶつと何事かをつぶやいている。
「あ! いや、その、可愛いって言うかその……」
ネザクとしてはいつものごとく、自然に口から飛び出した言葉だったのだが、そんな彼女の反応を見て、自分も顔を赤らめる羽目となった。
「うう……」
「えっと、だから、その……可愛いって言うんじゃなくて、いやでも、可愛いのはホントだけど、……って、あ! だから、可愛いってことが問題なんじゃなくて……」
「ううー! も、もう、いいよ!」
支離滅裂に『可愛い』を繰り返すネザク少年を前に、ますます顔を赤くしたエリザは、最後にはとうとう怒ったように声を張り上げた。
「と、とにかく! それじゃ、男と女の約束だな!」
「なんかそれだと別の意味が加わるような……」
「う、うるさい! さっきから、わけの分からないこと言って……。と、とにかく、あたしたちは夢に向かって頑張るんだ。約束だぞ?」
「う、うん!」
お互いに手を合わせた後、青い空へと拳を突き上げる少年と少女。
この日の誓いは、ネザク少年を大きく変えたのだった。
そして、これが本当の────『魔王』のはじまり。
第3章の最終話です。
次回「第3章 登場人物紹介」の後、第4章となります。




