魔の手
続編つくるので、結構テキトーに書きました←
ゾワッ、と背中に寒気を感じる。
「な、なんだ?」
そう呟いても、誰かが答えてくれるハズもなく
「何が?」
と、愛しの亮平が首を傾げるだけだった。
白衣姿の亮平は相変わらず神々しい。
「てゆうかさ、お前さっきから話聞いてるわけ?」
「へ?あ、…ん?何?」
「…やっぱ聞いてなかったんだな。」
「あはは?」
「…」
ちょっと冷たい目線を送られる。
「だ、か、ら!帰れっつってんだよ。」
「…………What?」
「…摘み出すぞ、クソ餓鬼。」
「え!?つまむ?出す?何を!?キャーっ、変態っ。原田先生エッチィ~っ」
…………え~っと、
どうやら俺は、本気で保健室からつまみ出されました。
って!
「なんでぇ!?入ーれぇーてぇーよーっ!!」
かれこれ10分はこうして粘っているが、なかなか入れてくれない。
鍵閉めて篭りっ放し。
話くらい聞いてくれても良いのに!!
「なにやってんのー?達也っ」
後ろからクラスの女子に声をかけられる。
美樹のお陰で結構女子と会話できるようになってから、絡まれるようになった。
「聞いてよ、奈美!!」
「おうおう、どした?うちの可愛い弟よ。」
ふざけて俺の頭をポンポンと軽くなでた本間奈美は、女友達の中で美樹以外だと1番気の許せる奴だ。
理由は簡単。俺に下心がないから。
基本的に寄って来る女子は、俺に気がある奴ばっか。
でもこのギャルの奈美は、彼氏持ちだし俺を男としてみてない。
弟的な目で見られている。
だから俺も奈美のことは姉ちゃんだと思って接してる。
「亮平が、俺をつまみ出した!!」
「ぎゃははっ。夫婦喧嘩かよっ!!」
「ひどくない?鍵閉めて篭ってんだぜ?」
俺はシクシクとワザとらしい泣きまねをしてみせる。
結構女子とふざけて遊ぶのは楽しい。
そのせいで最近俺はなぜかタラシってあだ名がついてんだけど…。
「んー、じゃあ、うちがどうにかしてやんよ!」
「えっ!まじ!?」
「まじまじ!!可愛い弟が旦那と喧嘩したって言うなら、姉ちゃん一肌脱いでやるよっ」
奈美は少し笑いながら保健室のドアをたたいた。
「ねぇ~、原亮!!腹痛!!あけてぇっ!!」
廊下に奈美のちょっとハスキーな声が響く。
…奈美、腹痛の人は、そんな元気な声ださないよ?
てゆーか、奈美帰宅部だよなぁ?なんでまだ残ってるんだろう。
実は前、数名の女子に以前、亮平との関係を聞かれたことがある。「2人できてんの?」って。
だから俺はとりあえず「幼馴染っ!」って最初は言ったんだけど、「仲いいよね、原亮の事スキなの!?」とか聞かれたから、否定すると怪しまれるかなぁ~?と思って「大好きィ~」とか言っておいた。
ちなみに原亮っていうのは亮平のあだ名で、その女子達は"フジョシ"ってやつらしいんだけど、いまいち良くわからなかった。
それからしばらくして、俺と亮平はデキてるって冗談が流行りました。
いえ、現在進行形で流行ってます。
亮平には怒られたけど、誰も本気にはしてないから多分大丈夫。
しばらくすると、ガチャリとドアが開いて、亮平が出てきた。
俺はその瞬間、亮平に抱きついた。
というか、飛びついた。
「奈美、協力アリガトー。バイバイ、またね。」
「うん、じゃね、達也。って、うちまだ帰らないけどっ」
最後までハイテンションで、ギラギラした爪をつけた細い手を俺にむけて軽く振って、奈美は階段を上っていった。
「…はぁ。」
奈美が見えなくなったとき、亮平はため息をついた。
「…怒ってる?」
「怒ってないようにみえますか?」
…敬語。
怒ってる…
怒ってるんですね、先生。
「…ごめんなさい。」
「それは、何に対して謝ってるんですか?」
「…えっと、話聞いてなかったこと?」
「…はぁ。」
ひえーっ!!
これ、まじ怒ってる!
だけど…
「俺、まだ亮平と居たいし…。帰りたくない。」
今日バイトねぇし…
あの家に1人って…
寂しいし…
「帰れ。」
「え?」
「お前さ、自分が受験生だって自覚もってんの?」
受験生っていったって…
「俺、あたま良い。」
「俺よりも?」
「うっ…、そ、それは…」
そんな質問ずるい。
「俺を超えられるほど勉強しろよ。志望校どこだかしらないけど。」
…実は、俺の志望校は亮平の卒業した結構有名な大学。
合格判定Cだ。
テストの点数的にはもう少し頑張ればどうにかなりそうだが、亮平と付き合っていなかった期間、いろいろあって不登校気味だったことから、出席日数を含めた出席態度の評価が低いのだ。
けど、なんか嫌な予感っていうか…
亮平が目の前から居なくなっちゃうような感覚に陥って…。
勉強どころじゃない。
できるだけ一緒に居たいんだ…。
…最近、冷たいし。
「…タツ、帰れ。」
そんなつらそうな顔されて、帰らないわけにはいかない。
俺、亮平に嫌われたくねぇもん。
「わかった。」
仕方なくのそのそと家路についた俺。
このときはまだ知らなかった。
魔の手が、俺と亮平を引き裂こうとしていることを…
これで続編
達也の支配者
に入ります(笑
別に番外編なんで
これにつながって始まるわけじゃないんだけど(笑
終わり方変ですみません…
よんで頂き、ありがとうございました。