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失われた愛の記憶

安定のぐだぐだw


でも亮平の思いがかけたと思います…。


「好き。」

頬を赤らめて、愛おしいアイツはそう言う。

子供の頃から好きだったアイツに、告白されるなんて思ってもみなかった。

正直嬉しいけど、素直になれないからこう言うんだ。

「子供の台詞ですねー。」

馬鹿野郎っ。

心の中で、自分を殴る…なんて事ができる訳もない。

「じゃあさ、亮平はどう思ってんの?」

「…好きですよ。」

「…耳貸して。」

…???

言われるがままに、奴に耳を傾ける。

「俺は、愛してるっ。」

完全に負けだ。

まだ高校生のアイツに、俺は余裕がない。

「じゃあ僕は、心の底から愛してます。」



朝、カーテンから朝日がこぼれる。

外からは小鳥のさえずり。

またあの夢だ。

俺が失ったと思われる記憶は、幼馴染であり生徒である相馬達也の事だけ、と言われていた。

確かにその筈だった。

なのに、まだもう1人忘れてる気がする。

記憶が失われる以前、愛していた人物。

学校だった。

この夢を見はじめた頃は、新見先生かと思っていたが違う。

新見先生の口調じゃない。

では、ただの夢なのでは…?

そうも考えた。

でも、それも違う。直感でわかる。

アレは夢ではない。

実際にあったことだと。

夢ではなく、記憶だと。

俺は一体、誰を愛していたのだろう。

新見先生を好いていたのは覚えている。

しかし、愛していたことは1度もない。

なのに、なぜ結婚しようとしたのだろう…。

何かから逃げようとしていた気がする…。

わからない、分からない。




「原田ー、腹痛い。」

「嘘吐かないでください。」

「あ、バレた?」

俺の記憶から消えた謎多き人物、相馬達也が保健室へサボりに来た。

いつもそうだ。

「昨日寝てないんだよねー。ベッド借りるね。」

「またですか?昨日も言いましたけど、高校生なんですから、最低6時間は寝なさい!!」

「はぁ…、またソレ?良いじゃん別に。」

「良くないです。自分の事は大切にしてください。…って、もう寝てる?」

「寝てる。」

…寝てないじゃん。

「あー、このベッド落ち着く。」

「そういえばいつもそのベッド使いますよね。3つもあるのに…。なんのこだわりですか?」

「んー、何となく」

「…」

何となく…ねぇ。

なんだろう、絶対になにかあるよな。

気になる。

「今、授業なんですか?」

「古文。」

カーテンの向こうからけだるそうな声が返ってくる。

どんなに眠そうでも、俺が話しかければ答えてくれる。

「文系苦手なんですか…?」

「んー、苦手…でもないな。ただ、理系の方が得意。」

「理系好きなんですか。」

「…好きではないよ。」

好きじゃないのに得意ってどうゆう意味だ?

勉強しまっくったって事か?

「好きじゃないのに得意なんですか?」

「うん…。」

あれ…。

なんか理由聞いたらマズイ雰囲気…?

コンコンと扉を叩く音がしたと思うと、相馬君の友達の木下君が入ってきた。

「失礼しまーす。」

「お迎えがきましたよ、相馬君。」

木下君が保健室に来たときは、決まってお迎えということを、俺はもう知っていた。

「いや、今日は迎えじゃねぇんだよ、原田。」

木下くんもダルそうに手をヒラヒラさせて相馬くんの隣のベッドに倒れこむ。

「…体調不良ですか?」

「んー…、寝不足。」

「2人して何してるんですか…」

…2人して。

いや、別に一緒に居たわけじゃないよな。

この2人ってノンケだよな。

いや、でも…。

相馬君って彼女居ないし…。

いや、告られてるのはけっこう見てるんだけどね。

でも木下君は彼女いるかも…

わかんない。

木下君の事なんて、相馬君の友達って事くらいしかしらないな…。

相馬君のことなら、わかるのに…。

………あれ?なんで?

なんで俺、相馬君の事知ってるんだろう?

過去の事は分からないけど、今の事ならほとんど分かる。

なんで?

「原田っ。聞いてる?」

「えっ…」

「聞いてねぇし。」

気がつくと、呆れた顔をした相馬君が目の前にいた。

「す、すみません。なんですか?」

「だからぁ、俺戻るから、順平よろしくっつってんの!」

「あ、はい。」

保健室から相馬君が居なくなるのがひどく寂しく感じる。

閉められた扉を名残惜しく見つめる。

寂しいなんて思うのはなんで?

いや、確かに俺はゲイだけどさ。

相手幼馴染だぞ?生徒だぞ?




「原田…」

「なんですか?」

木下君いたの忘れてた。

「まだ…達也の事、思い出せねぇの…?」

「あぁ…まぁ、そうですね。」

「…達也、最近辛そう。」

それは俺もわかっていた。

寝不足だと言って彼は保健室へ来る。

話を聞くと、不眠症だと分かった。

不安や、ストレスや、辛いことがある精神的なものだとも分かった。

「心当たり…あんだろ?」

「え…?」

いやいや、俺に言われても。

「お前だよ。」

「…どうゆう意味ですか?」

「最初は達也だって頑張ってた。だけど、お前に会うたびに、辛いんだと思う。だけど、会いに行っちまうんだよ。アイツは。」

「…?それは…僕が彼の記憶をなくしているからですかね?」

「うん。」

「でも、彼は記憶を取り戻して欲しくないと言ってましたよ?」

「そんなのっ…」

木下君は寝ていた体を起こし、俺を睨みつけて怒鳴った。

「そんなの本心な訳ねぇだろッ!!馬鹿か、お前!」


俺は、ずっと相馬君を目で追ってる。

ヤバイ。本気で好きだ。

今日もまた、保健室のベッドでならぐっすり眠れている相馬君。

その無防備で綺麗な横顔に、俺は軽くキスをした。

「やばっ…、何やってんだ?俺。」

忘れた思い。

忘れた記憶。

それが、全部君で、俺は君が好きで、君は俺を好きでいたらいいのに…。



記憶が戻ったら、君を手にいれられる気がするのは、気のせいなのか?

だけど、君はそんな関係を望んでいないのならば、俺はこのまま気持ちを隠し通そうと思う。

亮平と達也、みごとにすれ違っています。

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