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チートだらけの異世界で、俺だけ少年漫画の主人公です  作者: 小鳥遊 千夜


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2/2

第1話 俺はチートなんていらない

 


「やっぱ漫画はさ――友情・努力・勝利だろ!」


 放課後の教室で、王土(おうど)は力説していた。


「また始まったよ。王土の少年漫画論……」


 友達の佐藤が呆れた顔をする。


「だってそうだろ!?

 仲間と修行して強敵を倒す! これが王道だ!」


「いや今はチート主人公の時代だって、

 異世界転生して最強スキルもらって無双。」


「それが流行り、努力と友情なんて古臭いんだよ。」


 王土が机を叩いた。


「だから、それが嫌なんだよ!」


 俺の名前は”道行王土(みちゆきおうど)


 高校二年生。


 そして将来の夢は――


 少年漫画家。


 でも今の漫画界は違う。


 努力よりチート、修行より効率、いきなり最強


 そんな作品ばかりが人気だ。


「王土の漫画さ……」


 佐藤が言った。


「熱すぎるんだよ、今の読者はそんなの求めてないって」


 俺は黙る。


 ……分かってる。


 それでも俺は思う。


「いや、絶対熱い方が面白いんだって!」


 俺は拳を握った。


「友情!努力!勝利!」


「この三つがあってこそ少年漫画だろ!」


 佐藤は笑った。


「お前、昭和の主人公かよ」


 帰り道。

 俺は一人で歩いていた。


「チート主人公か……」


 確かに楽だ。


 いきなり最強――


 努力も修行もいらない。


 でも俺は嫌だった。


「やっぱりさ、

 頑張って強くなるから面白いんだろ。」


 その時だった。


「きゃっ!」


 悲鳴が聞こえた。


 振り向くと小さな子供が道路の真ん中に立っている。


 そして――

 

 迫り来るトラック。


「やばいぞ!!」


 ブレーキの音――


 だが間に合わない。


 考えるより先に体が動いていた。


「危ない!!」


 子供を突き飛ばす。


 その瞬間――


 視界が真っ白になった。



 ……気がつくと。

 そこは真っ白な空間だった。


「ここ……どこだ?」


 目の前に誰かいる。


 白い服を着て長い髭を蓄えた老人。


「ようこそ、こちら側の世界へ」


「こちら側?…どういうことだ?」


「簡単なこと、キミは()()()のじゃよ。」


 俺は思わずツッコんだ。


「え?死んだ?」


「うむ、トラックに轢かれての」


「うわあああああああ!!」


 マジか――


 マジで死んだのか俺。


 神っぽい老人は言った。


「そして、私が神だ」


「やっぱりか!」


 なんかもう流れ的に分かってた。


 神は続ける。


「君は子供を助けた。今時珍しい、勇気ある者じゃ。」


「よって特別に――」


 神は指を鳴らした。


 光の画面が出る。


「異世界に転生させよう」


「おお!!」


 俺のテンションが上がる。


「さらに、特典として最強スキルを与えよう」


 画面に文字が並ぶ。


 ・無限レベルアップ

 ・全属性魔法

 ・ステータス9999

 ・無敵能力


 俺は腕を組んだ。


「うーん」


 神は微笑む。


「好きなものを選ぶと良い」


 俺は言った。


「いらない」


 神の笑顔が止まった。


「……え?」


「チートとかいらないんで」


「なっ…なぜじゃ…?」

「他の者は皆喜んでおったぞ?何が不満なのじゃ?」


 神はあからさまに困惑している様子だ。


 俺は叫んだ。


「そんなのつまらないだろ!!」


 神「!?」


 俺は続ける。


「最初から最強とか意味ない!」


「仲間と修行して強くなる!それが一番熱いんだよ!」


 神は頭を抱えた。


「変な転生者じゃの……」


 しばらく考え込む。


 そして言った。


「ならこれならどうじゃ?」


 新しいスキルが現れる。


 ”少年漫画補正(ソウル・コンバート)


「想いを力に変える能力、仲間がいるほど強くなる。

 逆境ほど覚醒する」


 神はため息をついた。


「もっとも、最近の転生者からは人気が無い、

 旧式のスキルじゃがの…」



 俺の目が輝く。


「それだあああ!!」


 俺は拳を握った。


「最高じゃねぇか!。ありがとう!」


 神が言う。


「う…うむ。では行きなさい、新しい世界へ」


 光が広がる。


「色々ありがとな!爺さん!」


「おっしゃあ、待ってろよ!異世界!!」


 俺は叫んだ。


「友情!努力!勝利!」


「俺が本物の主人公ってやつを見せてやる!!」


 そして――


 俺は転生した。


「やれやれ、何とも変な転生者だが、

 彼なら()()()()を救ってくれるかもしれぬ。」


「頼んだぞ。未来の勇者よ…」




 森の中――

 俺は目を覚ました。


「ここが……異世界?」


 木漏れ日が差す森の空気はどこか湿っていて、現実とは違う匂いがした。


 その時だった――


「た、助けてください!」


 声が聞こえる。


 振り向くと、少女が魔物に追われていた。


 俺はニヤリと笑い地面に落ちていた剣を拾う。


「おいおい。いきなりイベントかよ」


 俺は構えた。


「いいぜ。主人公の出番だ!!」



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