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第5話 素振りを始めてみた

「爺ちゃんと祖母ちゃんがねぇ……」


家の縁側に座って呟く。

豪気爺ちゃんと妙祖母ちゃんが、有名なシーカーだったのには驚きだった。


「……そういや神様、ダンジョンの事何も言わなかったよな」


まさか地球の事には興味なかったとか?

流石にそれは……まあ別に世界が滅びる様な事でもないから、って所かね。


「俺はどうしたもんかねぇ……」


トラックドライバーに戻る?

天職ではあったが、事故とは言え人を()き殺しておいてそれは流石にだよな。

とは言え、他の仕事はなぁ。


「神様から折角チートを貰ったし、それを生かすなら……」


ダンジョンの探索。

そんな考えが頭に浮かぶ。

覚醒はしていないので魔法は使えないが、俺にはレベルと努力によるアビリティの取得がある。

これを生かせれば、ダンジョンで資源を入手する仕事は出来るんじゃないだろうか?


「それが出来れば、人と接触する必要はないし……」


まあ問題は、貰ったチート能力でそこまで強くなれるかって所だな。


「まあ暫くは体鍛えるか」


まずは体を鍛えて見て、出来そうならやる。

駄目そうなら、その時はその時で考えよう。

幸い、爺ちゃん祖母ちゃんはソーサラーの仕事で億単位の金をため込んでるらしいので、暫くはゆっくりして良いって言ってくれてるし。


え?

そんなに稼いでいるのなら、働かずに脛を齧ってりゃいい?


まあそれが一番楽だろう。

けどそれはしたくない。

俺にだってプライドがあるからな。


だから自立したいんだ。

爺ちゃん祖母ちゃんにおんぶに抱っこじゃなくて、一人の人間として。


「じゃあ取りあえず腕立て伏せ……いや、アビリティの事を考えたら木刀でも振った方がいいかな?」


アビリティは、努力する事で発生する。

リハビリをすればリハビリ効果アップのアビリティが生えて来たように、木刀を振れば剣術的なものが手に入るはずだ。


「ってこの家、木刀とかないよな。ああでも確か……」


俺は祖父の部屋に向かう。

因みに、祖父母は出かけていた。

ギルドの仕事――要は、ソーサラーとしてダンジョンアタックに参加するためだ。


「これを使わせて貰おう」


祖父の部屋には、模造刀が3本飾ってある。

高級品ではないはずなので、振るぐらいなら許してくれるはず。


「まあ爺ちゃんが返って来たら言えばいいだろ」


という訳で模造刀を持って庭に出る。


因みに俺の格好はジャージだ。

なのでそのまま剣を素振り開始。

取りあえず、上段に構えて下に振り下ろすを続けてみる。


「はぁ……はぁ……これ、結構つらいな」


10分ほどでかなり辛くなってきた。

よくよく考えて、俺って昨日まで入院してリハビリしてた訳だからな。

レベルアップとかでステータスが上がってるとは言え、いきなりハードな練習は出来んか。


「お、アビリティが……」


新しくアビリティが生じる。

訓練効果アップという物だ。


剣術関連ではなかったが、かなりいい。

効果は、訓練全般の効果が上がる、だ。


「とりあえず休憩……あいったぁ!?」


模造刀を(さや)に納めようとして、鞘と(つば)の間に指を挟んでしまった。

疲れてるから動きがおぼつかなかったためだ。


「んあ?アビリティ?」


すると何故かそのタイミングでアビリティが増えた。

確認すると痛み耐性Lv1と、物理ダメージ耐性Lv1が。


「今のでも増えるのか。まあ結構痛かったけど……」


訓練系より、こういう耐性系の方が簡単に手に入るんだろうか?

それともレベルがある様な奴は簡単だとか?


「まあ、簡単に手に入るのは良い事だ」


休憩を取って再び10分程剣を振る。


「うう、腕がもうパンパンだ。きっつ」


模造刀がそこそこ重いのもあってか、長時間続けるのは辛い。

それでも頑張って休憩をとってから3セット目に。


「お、アビリティが増えた」


素振り中にアビリティが増え、体が急に軽くなる。

確認すると、フィジカルブーストというアビリティが増えていた。

どうやら体力アップと、疲労回復速度を上げる効果があるみたいだ。


「こりゃ有難いな」


腕がパンパンなのは変わらないが。



拙作をお読みいただきありがとうございます。


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