第21話 うざ
道中、ロックウルフをバッタバッタとなぎ倒しながら進む
最初はその度にアイテムを拾っていたが、冷静に考えて、最下層ダンジョンのドロップアイテム何て大した値段にならないので、途中からスルー。
そして1時間程走ったところでボス部屋に到着。
したのだが――
「あ、先客がいた……」
ボス部屋についたら、中で誰かが戦闘していた。
「最下級ダンジョンだから人なんてほとんどいないと思ってたけど、まあ被ってしまった物は仕方ない」
ボスはロックウルフのデカい版が2体で、戦ってるのは10代ぐらいの、男1人に女の子2人の3人組だ。
3人は体長2メートル程の、人型の土のゴーレムっぽいのを自分達を囲むように出し、それを壁にしながらウルフへと魔法を撃って戦っていた。
ぶっちゃけ、死ぬほど弱そうに見える。
いや実際、くそ弱いんだろう。
あんなくそ鈍い魔物相手に、攻撃外しまくってるし。
魔法もバレーボールぐらいのサイズしかないし。
「まあソーサラーもピンキリか」
Fランクに来てる様な奴らが強い訳もない。
まあ他人の力量とかは気にしてもしょうがない。
素直にこいつらが倒すのを待つとしよう。
共闘?
ねーよ、コミュ障舐めんな。
まあコミュ障以前に、ダンジョン内で他人が戦ってる魔物と戦うのは要請がない限りはNGって言われてるからな。
「なんか……普通に負けそうなんだが?」
壁をしていたゴーレムの1体が崩れる。
残った2体も頑張ってウルフを追い払っているが、体中ヒビだらけだ。
そして悲鳴ともとれる絶叫を吐きながら魔法を放つ3人。
一人に至ってはもう泣いてるし。
「いや駄目なら逃げろよ」
ボスはボス部屋から出てこない。
なので、外にさえ逃げればそこは安全圏になる。
あ、因みに、ボス部屋の外からボスに魔法を打ち込むってズルは出来ないそうだ。
外から撃った魔法は、ボス部屋に入った途端消えてしまうらしい。
「あ、もう一体やられた」
2体目のゴーレムの体が崩れ落ちる。
しかも3人組の1人はその場にへたり込んで泣き出してしまう始末。
「マジかよ……」
何を考えてこの子らはボス戦に挑んだんだ?
どう考えても実力が足りてないだろうに。
これが若さゆえの暴走って奴か。
「はぁ……仕方ない」
人と関わるのは憂鬱だ。
コミュ障だから。
だが、だからと言って、目の前で人が殺されそうになってるのに見て見ぬふりをする訳にも行かない。
気分は乗らないが、俺はボス部屋入り口から一気にボスに向かって駆けた。
―—その際、フレイムボディを発動させる。
別に格好つける為に使った訳ではない。
これは俺が魔法使いですよと、アピールするためだ。
神から授かったアビリティは、他人には秘密にしないといけないからな。
人間ってのは、異物を排除しがちな生き物だからな。
俺がソーサラーじゃなく、謎の力を扱う人間だとバレれば、色々と弊害が起こ血かねない。
だからそれを避けるめ、ソーサラーの振りをするのだ。
え?
異物を排除するなら、真っ先にソーサラーがそうなるんじゃないか?
まあ普通ならそうだな。
急に魔法が使えだす様になるとか、普通なら奇異の目を向けられる事になる。
だがソーサラーは、そうはならなかった。
まず第一に、人類の環境が行き詰まっていたってのがある。
今のままじゃそう遠くない未来、環境悪化で人類の栄華が終わりを告げるのは日を見るより明らかな状態だった。
何らかの大きなブレイクスルーが起きない限りは。
だがそんな目途は立っていない。
そこに現れたのがダンジョンとソーサラーだ。
ダンジョンから得られる未知の資源。
そして魔法の力。
この二つが、人類の未来をより良い方向に進めてくれるんじゃないか?
そんな期待感があったからこそ、ソーサラーは比較的好意的に人類に受け入れられている訳だ。
あと、数が多いってのも大きい。
人類の1割ぐらいは覚醒してるらしいからな。
そんだけいたら、そりゃ気に入らなくても簡単に排除できないだろう。
「うわあああああ!」
「いやああああ!」
「うわーん!!」
「はぁっ!」
最後のゴーレムが一匹に噛みつかれ投げ飛ばされ、がら空きになった3人に向かってもう一体のボスウルフが襲い掛かる。
俺はそこに炎王剣(物理)で斬撃を加え、首を跳ね飛ばす。
うん、やっぱり弱い。
見てるだけなら弱そうに見えても実は、ってパターンを懸念してたけど、そんな事はまるでなかった。
マジで見た通りの、くそ雑魚のままだ。
「ぐおおおおおお!」
もう一匹が襲ってくるが、そいつは剣をクロスする様に正面からペケ字に切り裂いてやった。
「あ、ありがとうございますぅ」
「よかった。よかったよおおおおおおお!」
「うえええええええん!」
……よく泣くガキ共だな、全く。
最初にへたっていた女の子と、もう一人の女の子がわんわんなく。
助かってよかったねって気持ちより先に、『ウッザ』ってなるのはコミュ障故致し方なしだ。
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