第15話 ぬかった
―—地下訓練場。
祖母ちゃんの呼び出した召喚は、シヴァと呼ばれる冷気を纏った魔物だった。
名前だけだと、ゲームなんかで出て来る色っぽい姿を想像するかもしれないが、実物はイフリート張りの体長に筋骨隆々の姿とかなりいかつい。
まあ一応胸は膨らんでるので、女性型なんだろうけども……
因みに、シヴァの能力はイフリートとほぼ互角らしい。
「さっむ!」
シヴァが息を吹き付けて来ると、俺の髪やまつ毛が凍る。
超冷たい。
そして一発で取得される冷気耐性。
というような事を、イフリートの代わりに日課に組み込んで10日間程で冷気耐性が10に。
「よし!冷体ゲット!」
予想通り、冷気耐性の派生効果で冷体を手に入れた。
これで冷気を武器に纏わせ、イフリートにダメージを通せるようになるはずだ。
ただまあ、二人を納得させるにはイフリートとシヴァを同時に倒せないといけないので、引き続き冷気耐性を上げて行く。
「よし!まずはシヴァと一対一だ!」
冷気耐性が15になり、シヴァの冷気が平気になったので、まずは1対1で挑む。
2体同時はそれぞれを1対1で倒せるようになってからだ。
「炎体!」
俺は炎体を発動させる。
冷体を維持しつつ。
実はこの二つ、同時発動が可能だ。
まあその分体力の消耗は激しくなるが。
「炎王剣!」
冷気を身に纏い。
そして炎は全て剣へと纏わせる。
これで冷気に強くなり。
そして炎で攻撃を加えるスタイルの感性である。
「行くぞ!」
俺はシヴァへと突っ込む。
奴は冷気の息吹を吐き出すが、完璧な耐性を持つ俺には――
「——くぁっ!?」
全身が凍てつく。
心臓が痛い。
瞼が氷り、目が開けてられない。
自分の体が氷っていくのが分かる。
なんでだ?
シヴァの冷気は耐性で完全に克服している。
祖母ちゃんも、全力の冷気だと言っていた。
だからダメージを受ける筈がないのだ。
だが、現実に体は凍り付き。
俺は動けなくなってしまっている。
これはシヴァの冷気が俺の耐性をぶち抜いた動かぬ証拠だ。
考えられるとしたら――原因は炎体か。
炎体は炎を纏い、熱に対する耐性が付く。
半面、冷気などに弱くなるわけだが……
それが分かっていたからこそ、俺は剣に全身の炎を纏わせたのだ。
炎が全て剣に集まれば、冷気への耐性ダウンを受けずに済むと思って。
だが現実は違った。
剣に炎を集中させても、シヴァの冷気は耐性を越えてダメージを与えて来た。
つまり……炎を身に纏っているかどうかは関係なく、炎体を発動した時点で、強制的に冷気の耐性が下がるという訳だ。
くそ……ぬかったぜ。
俺は寒さに耐えられず、意識を失う。
―—今回得た教訓。
思い込みは危険。
ちゃんと検証しましょう。
だ。
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