第14話 頼み
「やっぱ本物の剣は駄目か」
ネットで調べてみたが、やはり剣類を手に入れる術はなかった。
少なくとも、俺には。
「取りあえず――」
庭に出てフレイムボディを発動。
そして手にしている模造刀に纏わせ、炎を刃の様な形にコントロールする。
そしてそれで目の前にあった木の棒を斬ってみた。
「炎を刃にする事は出来るな」
炎王刀(物理)と命名。
「けど、刃状にしても火属性だからなぁ」
鋭くしても、結局は炎でしかない。
なので、この炎の刃でイフリートを切り裂くのは難しいと思われる。
「これが火属性じゃなければなぁ……」
他の属性だったなら……
ん?
待てよ……
「爺ちゃんは火属性だからイフリートを召喚してる。そして祖母ちゃんは水属性。つまり、祖母ちゃんに頼めば……」
熱耐性からフレイムボディが派生したのだ。
祖母ちゃんの力を使って水属性の耐性辺りを付ける事が出来れば、その派生で同じ様な力が手に入る可能性は高い。
水の刃なら、イフリートにも通用するはずだ。
「よし!祖母ちゃんに頼んでみよう!」
という訳で、早速祖母ちゃんに相談してみた。
「私が壮太を攻撃?」
「うん。冷気とかで攻撃して欲しいんだ」
最初は水攻撃でいいって思ってたんだけど……冷静に考えて、水耐性ってなんだよって考えに至った。
水で攻撃されても普通に物理耐性が上がるだけな気がするので、なので祖母ちゃんには冷気で攻撃してくれと修正。
「冷気は出せるけど……かわいい孫を魔法で攻撃するってのはちょっとねぇ……」
どうやら冷気攻撃はある様だ。
ただ、祖母ちゃんは俺を攻撃する事には気が進まない様だった。
まあ逆の立場で考えて、俺が祖母ちゃんに攻撃できるのかって話だしな。
爺ちゃんは問答無用でイフリートを使って熱波とかして来るけど、まあそれは置いておく。
「祖母ちゃん頼むよ。イフリートを倒すには、火以外の属性の力が必要なんだ」
とにかく、祖母ちゃんの協力なしにイフリートの撃破は難しい。
だから粘る。
「壮太。そんなに無理をしなくたって、他の仕事探せばいいじゃない。正直……お祖母ちゃんは、孫の壮太に危険な仕事をして欲しくないんだよ」
祖母ちゃんもその仕事をしてるでしょ!
何て事は言わない。
圧倒的な力を持って安定して仕事を出来ているであろう祖父母と、色々と未知数である上に、単独で狩りをしようとしている俺とでは話が変わって来るからな。
だから、祖母ちゃんが俺の事を心配しするのももっともだし。
だからこそ、爺ちゃんもイフリートなんて化け物を倒せたら何て条件を出したのだ。
「……」
困ったなぁ……
どう説得した物かと苦心する。
俺にとって、見知らぬ他人と接する生き方は論外だ。
だからダンジョン探索がベストだと思っている。
一人で出来る仕事は他にあるだろう。
でもそういうのは才能ありきだったり、特殊な知能が必要だったりする。
「確かに危険だよね。だから、爺ちゃんや祖母ちゃんが心配するのも分かる。けど
……俺は自分を試したいんだ」
自分に出来そうな適正な仕事は、探せばひょっとしたら他にあるのかもしれない。
だから安全を求めるなら、もっと他の探すべきなんだろうとは思う。
けど、俺はダンジョンに入って稼ぎたいと思っていた。
変わってしまった世界。
そして神様に貰った可能性。
男なら挑戦してみたいって思うだろ?
なにより……今すっげー楽しいんだ。
鍛えればそれがダイレクトに返って来る、今の成長が。
そしてその成長を、ダンジョンで試してみたいって気持ちが強い。
「壮太……」
自分でもお馬鹿な感情だとは思ってる。
でも――
「祖母ちゃんが心配しなくて済むぐらい、俺は強くなる。約束するよ。だからさ、俺に手を貸して欲しいんだ」
そう。
危険だって、それを吹っ飛ばせるぐらい強くなればいいだけの事だ。
だから俺は強くなる。
爺ちゃん祖母ちゃんが安心してられるぐらいに。
「………本当に、お祖母ちゃんが納得するぐらい強くなるのね?」
「うん、約束するよ。それと、出来るだけ無茶はしない事も約束する」
「わかった。じゃあお祖母ちゃんも、ガーディアンを召喚するから……おじいちゃんのイフリートと一緒に倒して見せて。そうすれば、お祖母ちゃんも納得してあげるから」
「ありがとう。おばあちゃん」
祖母ちゃんの召喚か。
きっと、イフリートみたいに強いんだろうな。
それを同時撃破か……
ハードルはかなり上がったと言える。
けど、やって見せるさ。
命がけの仕事を選ぶんだから、それぐらい強くなって見せないとな。
でなけりゃ、爺ちゃん祖母ちゃんを安心させてあげられない。
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