表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

幸せな誕生日

父のエスコートで大広間に入る。

私の4歳の誕生日なの。

今日は近しい人だけのパーティー。

家族や、家に仕えてくれる使用人・騎士諸々。

後は父達の本当に親しい友人が何名か。


普通使用人とかは………って思うでしょ?

彼らだって貴族家の子息子女だし、

執事長なんか伯爵なのよ。メイド長は子爵夫人。


何で貴族なのにそんなことをするかって?

執事長の家はそういう家柄なの。

騎士を多く輩出する家があるように、

他家に仕える事を信条とした家がある。

多くは公爵領内に住む貴族が領主の家に仕えるのよ。


メイド長の場合はちょっと違って、

祖母の伝手で父の乳母になった後メイド長として働いて貰ってる。

有能な人材は逃すな…ってね。


貴族ではない使用人や騎士もいるけど、

実力があれば雇い入れるのが家の方針だから、

このパーティーに参加する権利は大いにあるわ。



今日はそう、近しい人だけ。

明日は午後から領民を庭園に招くちょっとした挨拶会。

明後日が一番盛大なパーティーになる。

帝国主要貴族が一堂に会する程の規模なの。


誕生日は、通常はカードや贈り物をする程度。

子供の4歳と5歳になる誕生日だけは盛大に開催するの。

4歳になる時に死を迎えぬように、

5歳になって死を越えるように祈りを込めて。



4=死…と言う意味ではない。

そして別に死ぬ事を忌避しているわけでもない。

魔力が不安定で、一番体調を崩しやすい年齢なのだ。

命を落とす子供も、決して少なくないわ。

そして5歳を過ぎたら、殆どの子が安定する。

魔法国家に住む者が、

己の魔力に殺される事が無いように願うの。

たくさんのお祝いで、祈りで、守られるように…と。



皇族は、子供が5歳の年に祝うので参加はしない。

だから彼らは通常の誕生日と同じようにカードのみ。

5歳の年の内容は追々ね。




さて、今日のパーティーに話を戻しましょう。

私とお父様は広間奥の壇上に上がる。

お父様が挨拶をされるわ。



「本日は、娘の生まれた日に集まってくれて感謝する。

 この場で酒は出せないが、食事は楽しんで欲しい。


 娘の、クリスティナの健康を祈って。グラスを持て。」



父の挨拶に合わせて皆がグラスを手に持つ。


手に持っているのはシャンパングラス。

中に入っているのは………ジュースや紅茶。

それぞれ好きなノンアルドリンクで乾杯するのだ。



「クリスティナ、乾杯を。」


父に促され、1歩前に出る。


「本日はありがとうございます。

 皆様、どうぞお楽しみ下さい。乾杯!」



  ────かんぱーーーーい!!!────


私の合図と共に、皆がグラスを掲げた。

壇上の私達がグラスに口を付けたのを合図に、

皆も飲食を開始する。

私とお父様も壇から下りて、家族の元へ向かう。



「お母様!私上手く出来てましたか?」


「えぇ立派だったわ。

 スレンディルも今日はとても大人しくて。

 きっとお姉さまをしっかりお祝いしたかったのね。」


「そうなんですか。

 本当、こんなに人が居るのに珍しくぐっすりね。」



弟は、母の腕の中でぐっすり眠っていた。

まさに天使の寝顔よ!


母は弟を生んで日がまだ浅いわ。

産後の肥立ちは悪くはないらしいけど、

体力の低下が少しあるそうなの。

そして弟には乳母がいないので、母の手で世話をしている。


メイドも世話はするけど、基本は母なのだ。

貴族の子を守るためにも乳母ではない他人に

全部を任せる事はどの家でもやらないの。

探してはいるらしいが、なかなか見つからないそう。

優秀な夫人達はもう既に他家の乳母となっていた。


両親曰く、私があまり手がかからなかったために

乳母を探す事を忘れていたらしい。

まったく失礼しちゃう!

私のせいにしないで欲しいわ!

何度も死に戻っている私だけど、

赤ちゃんの時は記憶がない。と言うか自我がない。

横着をしたお父様達が悪いのよ!!



お母様やお兄様お姉様への挨拶もそこそこに、

私は料理を取りに行く。

家の料理長の料理は世界一だもの。

私の目的はもちろんスイーツ!

幸せを運ぶ食べ物なのよ!







私の処刑まで………後、16年。


本作の乳母は、世話係・養育係の立ち位置とします。

公爵家の子供を世話するためには、

マナーや教養がしっかりしている人間を選ぶ必要があるのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ