明日こそ
まただ。
またこの夢。
いつもここで終わるの。
いつも泣いてる貴方はだぁれ?
今日こそしっかり見たかったのに…。
もう……きっと見られない…。
私に…明日は……もう来ない…。
私は今牢にいる。寒くて暗い地下の牢。
何故かだなんて無駄なこと。
冤罪だなんて無意味だわ。
私は今日、処刑される。
意外にも死にたくないとは思わない。
死にたいとも思ってないが、別にいいのだ。
何度も何度も死んだから。…そう、何度も。
そして何度も夢を見る。
決して先に進まない夢を。
人も景色も動くのに、音だけが聞こえない夢を。
何度も繰り返すのに、私は何も変わらない。
あの時ああすれば、こうすれば。
そんな後悔を抱いて死ぬのに、何も変われない。
決められた道を歩き、決められた場所に行く。
決められた言葉で、決められた暴言を吐く。
何も…………変われない。
心の中では思うのだ。
行ってはいけない、言ってはいけないと。
でも、それでも変われない。いい加減疲れてしまった。
死ぬ時は一瞬で、痛みも無い。だから別に構わない。
おかしいのだろうか…。泣き叫ぶべきなのだろうか…。
何度も死に過ぎた。私への罵声の言葉も聞き飽きた。
夢の中で泣いてる人だけが、何度死んでも見えないの。
私の目に映るのは、私を見つめて泣く貴方。
体と切り離された私の顔を抱き締めて咽び泣く声。
『何で…』その言葉を最後に音が消える。
雫が頬に落ちたのを最後に色が消える。
全てが黒に染まった時、
『今度こそ…』それだけ聞こえて意識は溶ける。
そしてまた目が覚める。
つまらない毎日を繰り返す。
何度も……何度も…………なんども。
今度こそ、夢の貴方の続きが見たい。
きっと………明日こそ……。