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第三十一話②

 いよいよ通りへ乗り込んだところで、すぐ側から人の気配がし始めた。

 ここの道を通るものなど、パンプキンしか俺は知らない。

 それなのにすぐ側から複数人の気配を感じるのだ。


 音を殺してその場所にゆっくりと近づいていく、大体察しはついているからだ。そこにいるものたちが味方なわけがない。


 嫌な予感は不幸にも当たってしまい、少し先に5人ほどの黒い服を着た人物たちが見えた。

 何やら武器を腰に下げて、怪しさ満点で話をしている。


 目を凝らさないとわからないが、奴らの黒い服の中には王国の兵士と同じ服を着ている事がわかる。

 間違いなく王国の手のものたちだろう。


 ここで俺には二択が迫られる。

 一つはコイツらを見なかった事にして、パンプキンの元に急ぎ合流する。

 もう一つは、コイツらを倒した後にパンプキンの元に向かうかどうかだ。


 ……こんな二択用意しておいて何だが、正直ここでコイツらを見逃す選択肢はないだろう。

 パンプキンと合流した後でも、どうせコイツらを追い払わなければならない事は変わらないだろうし、ここで変に見逃して何らかの情報を奪われるのも癪だ。


「おいお前ら、こんなところで何をしている」


 ひとまず声をかけてみると、「何故こんなところに人が!?」と相手たちは動揺を隠せずに驚きを露わにし始めた。

 偵察部隊がそんなにも冷静さをかいていいものなのかとじっと見つめると、相手は腰に持つ武器に手をかけた。


「貴様何者だ」

「何者かわからないで攻撃の準備か? 随分と王国の人間は気性が荒いんだな」

「こんな場所で私たちのような人間を見かけたら、大抵の者は見なかった事にして逃げる筈だ」

「それなのにわざわざ声をかけてくるとは、並みの神経では到底あり得ないな」

「そうか? 単なる好奇心旺盛な青年かもしれないぞ」


 俺のこの言葉が、奴らに確信を与えたのか。奴らは俺を敵とみなしたように武器を手に取り構え出した。


 相手の数は5人、直ぐに倒したいがここは森だ。

 通りへ繋がる道を荒らしたくはない為、大魔法の使用は避けたい。

 ならば小粒の魔法を幾つか使用しようか。

 嫌、それも面倒だ。


 そうとなればやる事は一つ、森を荒らさない程度で最高の魔法を放ち一掃する。

 これしかないだろう。

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