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第三十一話①

「こちらの道をお使い下さい」


 女王はそう言って、城の中での裏道を俺に教えてくれた。

 曰くここを真っ直ぐ進んで行けば、城の外に出られるそうだ。


「それではパンプキンの元に行ってくる、アカリはそれまでに機嫌を直しておくんだぞ」

「その発言で一層悪くなったわよ。つべこべ言わずに、早く帰ってきなさいよね」


 そんなやり取りをして、俺は城を抜ける為に走り始めた。

 それと同時に女王も動いていく姿が見えたが、果たして国王への交渉は上手くいくのだろうか。

 それが上手くいきさえすれば、楽に解決できるのだが、わざわざ交渉が失敗した後の話を繰り返ししていたのを見るに、交渉が成功する可能性は限りなく低いと思っているのだろう。


 俺は細くも長い道を永遠と走り続ける。

 何処の隙間なのか、今は城のどの位置にいるのか

皆目見当もつかない。

 だがあの女王の言っていた事を信じて突き進む他ない俺は、あの女王を信じても良かったのかと不安にさえ思ってきた。


 10分ほどが経って、ようやく城の外へと辿り着いた。

 ここが何処だかわからないが、ひとまず城から離れていることだけはわかる。

 俺は狭い道を進んで汚れた服を軽く叩きながら、通りの位置が何処なのかを確認する為、すぐ近くにあったハシゴのかかった屋根に登り、辺りを見渡す。


 どうやらここは、アカリが城に侵入した位置から随分と近い場所みたいだ。

 ひとまずそこまで戻れば、通りへ戻る方法もわかってくるだろう。


 既に息が切れているというのに、俺は再び走り始めた。

 アカリが待っている事なんてどうでもいいが、早くパンプキンと合流して、女王との交渉に成功した事を知らせてやりたいのだ。


 今頃慌てて偵察部隊を止めている筈だから、もしかしたら合流次第俺もその作業に参加させられるかもしれないな。


 そう考えればなるべく体力を残しておくべきな気もしてくる。

 とはいえこの状況で休む判断を下すことは出来ず、俺は通りへできる限りの速さで走っていく。


 何故俺が誰かの為にここまでして動かなければならないんだと思えてきたが、ここまで関わりを持ってしまったからには、途中で投げ出す事は出来ない。

 それは責任感だとか大層な理由でなく、単純にプライドがそれを許そうとしないのだ。


 ――

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