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第二十九話③(アカリ視点)

「それで……何かご用でしょうか」


 見つかった瞬間は、兵士を呼ばれて捕えられてしまうのかと思ったが、予想外な事に、女王様は悲鳴すら上げずに冷静な態度を見せていた。


 メイドさんに外傷はなく、眠っているだけな事を確認すると、女王様は抵抗を見せずに床に座り、そのままメイドさんの頭を自身の膝の上に乗せてあげたのだ。


 そしてその後直ぐに、私に質問を投げかけてきた。

 自分に用がある事は既にわかっているというように、冷静かつ堂々とした態度でそう言ってきたのだ。


「先ずは、謝罪をさせて下さい。手荒な真似をしてしまって……本当にごめんなさい」

「……謝罪が出来るのですね。しっかりと自分がやっていることがよろしくない事だとしりながらも、行動を起こした…と言う事は、それなりの理由があるのでしょう。話してみて下さい」


 冷静に言葉を返す女王様にペースを狂わされながらも、私はいきなりではあるが踏み込んだ質問をぶつける。


「……通りの事はご存知でしょうか」

「えー、勿論知っているわ。知ったのはつい最近の事だけど」


 私は息を呑んだ。

 知っていない事を前提でここにきたからだ。


「どう思われましたか……? それを聞いて」

「やっぱり旦那……国王様のやってる事は最低だと思ったわ。本気で考えているのかしらってね」

「でしたら女王様……どうか、通りを救う事にお力を貸してはいただけないでしょうか。」


 私は深々と頭を下げた。


「それは何というか……難しい話ですね」


 だが残念な事に、あっさりとそんな言葉を返されたしまう。


「どうしてですか……酷い事だと言うのであれば、止める事だって……貴方ならそれができる筈です」

「元々、あの人とは価値観や考え方が会いませんでした。だからこうして私だけ、別棟に移ったのです。その後も度々トラブルは続きました。今のように、国王の横暴なやり方を止めようとした時もあります。でもいつも、逆情した国王によって、より酷い結末を迎えてしまうのです」

「今回もそうなると?」

「例外を私は知りません。きっと次もそうなるでしょう」


 ならばと私は、別角度からの提案をしてみる。


「だったら提案を変えます。貴方が直接通りを救うのではなく、私と、通りの長であるパンプキン……そして、最強の魔法使いであるマヤトに力を貸していただけないでしょうか」

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