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第二十三話③

「ひとまず、今日一日を情報収集に費やすってことでいいんだな?」

「そうですね。まだ昼頃ですし、夜までだとしてもかなりの時間捜索が出来ると思います」

「ちょっと待って、それじゃあその間私は何をしてればいいのよ?」

「……留守番だな」

「また!? …楽ではあるんだけど、暇なのよね…」


 落ち込むアカリを尻目に、俺とパンプキンは変装を続けた。

 パンプキンは城下町にも馴染むように、煌びやかかつ豪華な服装へと着替えつてフードを深く被った。

 俺はひとまず今来ている服を全て脱いで、王国兵が来ていたであろう服に着替えたのだが……。


「そもそも何故こんな服があるんだ、そこらで手に入るような品物じゃないだろ?」

「城へ行った際にこっそりいただいてきたのです。何かに使えるのではと思いましてね」


 お互い力のことはまだ明かしていない為、パンプキンがどのような魔法を使うのかはわからない。

 今日城に訪れた際に、兵士の服を盗んでそれを隠し持つ時間などあっただろうか。

 今思いだしたが、コイツは城でも馬鹿な国王に攻撃を仕掛ける際に、銃を何処かからだしていた。

 厳重なボディチェックをされたのにも関わらず、コイツは調べられなかった被り物からではなく、マントからそれを取り出したのだ。


「お前の魔法は……何かを隠す事が出来る魔法なのか?」

「うーん……惜しいですね。…ここまで一緒にやってきた仲です。貴方達には教えておきましょう」


 そう言ってパンプキンはパッと手を広げた。

 するとその周りからジャラジャラと、銃やそれに使うであろう弾丸、剣にナイフなど、あらゆる武器がそこに散乱し始めた。

 軽く山積みになったそれを見るに、手品などと言った、何かしらの仕掛けで隠せるような量でないことはわかる。つまりはこれがコイツの魔法なのだろう。


「私の魔法はいわゆる『収納』です。あらゆる物を自身の所有する虚構空間に収納でき、これらのものを瞬時に取り出して使用する事ができる。そしてこの中に収納してあるものは、手を使わずとも使用する事が出来るのです」


『収納』と聞けば馬鹿馬鹿しくも感じる魔法だが、説明を聞いて何とも便利な魔法だなと感じた。

 この魔法は俺も使う事が出来るのだろうが、見たところコイツの扱いが上手いから便利に見えているだけみたいだ。


 コイツの死角で物をいくつか収納して見せたが、取り出す際にどれが出てくるのか把握できない上に、何処に出てくるかもわからない、手元に出そうとしたら背中方面から出てきたのだ。

 慣れるまでは使用を控えておくことにしようと思う。


「その魔法は相手に仕掛けを知られていない方が効果を発揮するのだろうな。なんせ相手の隙をつく事が出来る」

「その通りです。手に何も持っていないと思った相手が、まさか突然拳銃を取り出してくるとは、思いもしないでしょうからね」

「そんな魔法を見せてもらった以上、俺も見せなければならないな。……というよりも口頭で説明した方が良さそうだ。俺の魔法は、、」

「『全魔法(オールマジック)』全ての魔法を使用が出来る魔法よ」


 先程まだ黙っていたアカリだったが、突如会話に割って入ってきやがった。

 俺は怒りを何とか堪えながら口を開く。


「あーその通りなのだが……俺が言おうとしていたところだろ…何故割り込んできたんだ…」

「どうせ格好つけて言うんだろうなと思ったからよ。腹正しいのよね、あんたがイキってると」

「相変わらず腹の立つ奴だな。もう黙っていてくれ」

「ずっと黙ってたでしょ、そっちで話を進めて……こっちはずっと暇なのよ」


 せっかく自身の魔法をひけらかす機会をアカリに奪われてしまい、腹の立った俺はアカリと口論する羽目になった。

 馬鹿のように言い争う俺たちを、パンプキンは何とも複雑そうにしながら見ていた。

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