第二十三話②
「だがアカリ、まだ終わったわけではないぞ」
「何? 貴方の魔法で国を滅ぼすの?」
「確かにそれが手っ取り早いが、気分はあまりよろしくないな。まだ探してすらいない最善の策から逃げた気にもなってしまう」
「ですので、私たちで何か方法がないのか探す事にしたのです」
「方法を探すって……何か当てはあるの?」
「ないな、何せ俺に関していえばこの国についてすら何も知らないんだ」
アカリは苦虫を噛み潰したかのような、不細工な顔を浮かべた。俺の意見が納得いかなかったのはわかるが、そんな顔をしないでほしいものだ。
「当てはないなら無駄に終わるかも知れないって事でしょ?」
「その通りだ。だがそれと同時に、有益に終わる可能性もあるわけだ」
「可能性の話をしたいんじゃなくて、もっと確実な術を考えるべきだと思うのだけど」
「そんな時間があればそうしている。いつ王国が攻めてくるかもわからないんだ、可能性は低くても、何か手探りで打開策を探し出すべきだ」
アカリはそれでも頭を抱えて悩んだ態度をとった。
正直、アカリの言い分も間違ってはいない、無駄に終わるかも知れないのだから、打開策をわざわざ探しに行き暇があるのなら、他の案を練るべきだという事なのだろうが、それでも俺は希望に賭けたい。
少なくとも、俺の読んできた物語はそうやって事態を解決してきていた。俺もそれをしてみたい、それを成せれば主人公のようじゃないか。
「早速だが行動を開始する。俺は城内を、パンプキンは城下町を見て回ってくれ」
「ちょっと待ちなさいよ。パンプキンさんが城下町なんて見て回ったら直ぐに命を狙われるでしょ? 少しは考えて発言を、、」
「それならご安心を、これは脱いでいきますので」
「脱ぐって……んぁ!?」
パンプキンが被り物を脱いで見せた時、アカリは何処かで聞いたことのあるような驚いた声を上げていた。
――
「はぁ……これまた女性ウケの良さそうな顔ね」
「女性ウケって……お前の性別はそれではなかったのか?」
「そうだけどなんというか、最近のアイドルグループのセンターいるような顔つきね」
ジロジロ顔を見られるのが嫌だったのか、パンプキンはフードを深く被って顔を隠した。
「あまり見ないで下さい……恥ずかしいので……」
「あざといわね」
「お前もそう思うか? 始めて気が合うと思ったぞ」
「そう、悪寒がするから黙ってて」
俺たちは変装を始めると同時に、皆で作戦を口頭で伝え始めた。