第二十二話②
「こんな……こんなもので一体どうするつもりだ……まさかとは思うが、城を破壊するつもりか? そんな事をすればお前たちもタダでは、、」
「そんな事をする筈がないだろ? お前たちが通りを脅しの道具としているように、俺はこの国をそれとするだけだ」
「愚かな、これ程の魔法なら、我らが力で何とか討伐できるだろう。多少の犠牲は出るかもしれないが、そんなものたかが知れている。脅しの道具になど、なりはしないぞ!」
強がりか、それとも事実かどうかは分からないが、犠牲が出る事に「たかが知れている」というのは、王国騎士長としていかがなものなのか。
そんな疑問を感じながら、俺は彼女に更にプレッシャーかけていく。
「残念だが、お前たちでは俺の魔法に叶う事はないだろう」
「貴様は我らを馬鹿にしすぎだ。本気を出せば……これくらい」
「これくらいというが、お前は目に見えているものだけが、自分の戦うべき相手だと錯覚していないか?」
王国騎士長は、どういう事なのかというように首を捻りながら、少しばかり体を震わせている。
何を告げられるのか、そう言った恐怖が彼女を襲っているのだろう。
「これらは見ての通り、まだ腕までしか出現していない。時間が経てばいずれ体全体が姿を現し、壊れたおもちゃのように止まる事なく動きを続けるだろう」
「そんな……はったりだ!」
「ならばそう思っていればいい。それが起きた時、対処を行なったお前の責任で、一体何人の国民が犠牲になるのだろうな」
王国騎士長はどうするべきなのかと顔を青ざめ始め、周りにいる何人かの兵士たちはこの場から逃げ始めた。
けれど、これらは彼女の言う通りハッタリに過ぎない。
この魔法は巨大な化物を出現させるような魔法ではなく、あくまでも土を形作るだけのもの、粘土のように俺が手を作り上げ、それを俺が操っているだけに過ぎない。
勿論この理論でいけば、巨大な化物を作り上げる事も可能なのだろうが、そこまで巨大なものとなってくると手順がいくつか増えてしまう。
俺はそんな面倒な事をするつもりはない為、俺たちが立ち去った後はこの辺りを囲むように設置された土で出来た巨大な手は崩れされるだろう。
「マヤトさん……人質を使うなんて相手をやっている事が同じになってしまいます……あまりいい気がしない」
「相手がその土俵を作り上げたんだ。俺は仕方がなくそれに上がったまで、気にするなパンプキン別に本当に国民に危害を加えるつもりはないのだ」




