第二十二話①
やはりと言った、呆れ切った感想しか出てこないが、ここでよりもう一度国王の頭の悪さを再確認したような気分となった。
本来国側の作戦としては、通りを人質に通りの最後を告げようとでも思っていたのだろう。それだというのに馬鹿な王様が「通りは無くす」なんて交渉以前の話をしたがばっかりに、会話どころではなくなってしまい、早速戦闘が始まってしまったのだ。
本来脅して話は終わるはずだったのにと、ここにいる相手側全員がそう思ったはずだ。
「ほら、先程までの威勢はどうした! お前程の魔法使いでも、こうなって仕舞えば手も足も出ないか!!」
再びイキリ始めた王国騎士長に腹を立て始めた俺は、今後どのように動くかを考えると同時に、パンプキンの様子を伺った。
何を考えているのか分からないが、何やら次の作戦を練っているようで、慌てる様子を見せずに冷静に王国騎士長を睨みつけている。
「パンプキン、お前がどのように動こうとしているのかわからないが、ひとまず俺の好きなようにしても構わないか?」
「……通りを救えるのであれば、私は何も言いません」
俺にしては珍しく、予め確認をとった上で行動を起こす事にした。今回の作戦の頭はあくまでもパンプキンの為、本来部外者の俺が好き勝手に動くのは少し違うと感じたからだ。
俺は自身の大した事もない、けれど成功率は高い作戦を実行に移す。
「人質や脅しなだとは、戦闘や争い事をするにおいて重要な役割を担うのだろう。圧倒的な戦力の差があれど、それらがあるだけで戦況は大きく覆る事になる」
「あーその通りだ、わかっているではないかマヤトというもの、お前たちが優位だった状況ではなくなった、お前のいう通り状況が覆ったのだ! さぁどうする? 通りを犠牲に己がプライドを優先し、私に攻撃を仕掛けるのか!?」
いい加減我慢の限界を迎えた俺は、魔法で作り上げた土で出来た巨大な手を再び動かし始める。
手を開いては握らせるなどをした後に、再び城に向けてその拳をぶつけてやったのだ。
再び城が揺れた事で手が再び動き始めた事に、王国騎士長はようやく気がつき、慌てふためきながら俺を怒鳴りつける。
「な、何のつもりだ貴様、話を聞いていなかったのか!」
「聞いていたとも、俺たちは今人質を作られた状況だ。ならば簡単な事、俺も人質を作ればいい。そうする事で拮抗状態を作り上げる事が出来る」
そう言って俺は出現させた巨大な手と同じものを何体も出現させていく。
城を覆うように作り上げたそれらのおかげで、意図せずに辺りにある建物から反射する光を、遮る事が出来たのだった。




