第十八話③
その後すぐに、森の方から騎士らしき格好をした女性が、こちらへと堂々とした態度で歩いてきた。
馬車で来ると聞いていたが、流石にあの森を抜けることは叶わなかったらしい。恐らく森を抜けた先にでも停めてあるのだろう。
俺たちの前に立つなり、騎士は軽く頭を下げながらパンプキンにのみ挨拶を始めた。
「おはようございます。パンプキン殿、私王国騎士長を務めております『アース・クレイア』と申します。本日城までの護衛をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします。王国騎士長がついてくれるとは、王には感謝しなければなりませんね」
「本当に、王国騎士長がお供でついてきてくれるとは、随分と高待遇での招待なんだな」
怪しくて堪らないといった言葉は飲み込んでおいた。
こんな扱いをパンプキンにする理由は相手からすれば1つとしてない筈だ。わざわざパンプキンの元に王国騎士長を送り込んだのは、何かしでかさない為の抑止力と言ったところだろか。
「パンプキン殿、このお方は?」
「私の護衛兼側近となっています。城まで同行してもらうつもりです」
「護衛というのであれば、私がついております。この方についてきてもらう理由はないかと思われますが?」
「護衛に限らず私のサポート全般を彼には任せています。同行を許していただきたい」
2人は睨み合いとは行かないまでも、少しピリついた会話を続けている。
俺が同行できなくなって仕舞えば、その時点で作戦は全て台無しになってしまう。相手としても、得体の知れない俺の同行をなかなか許可しようとはしない。
そのように思われたが、相手は予想外な事に、暫くしてから笑みを浮かべ始めたのだ。
「そこまで仰るのであれば、今回ばかりはお許しいたします。…それでは、早速ですが向かいましょう。王がお待ちですので」
思いの外あっさりとパンプキンの要望を聞いた彼女は、そのまま森の方へと歩いて行った。
口論を面倒に感じたのか、それとも俺を脅威とは見做していない、つまりは舐めているのか。
そうだとすれば不快だな。今この場で目にもの見せてやろうか。
すると突然頭に激痛が走る。
「何馬鹿な事しようとしてんのよ? こんなところでお付きの方に何かしちゃ、その時点で作戦は失敗なのよ?」
どうやらアカリが俺の頭部を目一杯の力で殴ってきたみたいだ。こいつ、思いの外力が強いんだなと驚きを覚えながら、俺は怒りを抑えてパンプキンの元へと歩いた。
「すまない、取り乱しかけてしまった」
「お気になさらなず、あの方の態度が気になるのは同じです。どうやら私たちはあの方に……いや、王国に随分と下に見られているみたいですね」
わざわざ城に呼ぶということは、ある程度の警戒をパンプキンに向けているとは思うのだが、それでもやはり、王国側の対応に大雑把な点が目立つ。
もっと警戒している相手なら、分かりやすく王国騎士長をパンプキンに合わせたりはしないだろうし、俺の同行も頑なに拒否する筈だ。
それをしないとなれば、やはりパンプキンの事を大した相手だとして見ていないのかもしれない。




