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第十八話①

「作戦といっても、何か話すことなんてあるのか? 何かされれば仕返しする。それくらいのことだろ?」

「その何かが起きた際の逃走経路や、この通りで何かが起きた時、どのように我々が駆けつけるのか。そう言った細かなところを話しておきたいんです」


 正直それらも、俺が魔法を使えば済む話であるのだが、やはり戦闘以外での魔法を避けたいと言った考えが消えない俺は、素直にパンプキンとそれらについて話し合った。


 その後数日間、王の間での交渉までの間俺たちはこの通りに滞在したのだが、その間にかかった宿代や飯代は全てパンプキンが支払ってくれた。

 俺たちが手を貸す側なのは変わらないが、何だか恩を感じ始めてしまっており、より一層こいつの力にならねばならないといった意識が芽生え始めている。


「いよいよ明日だけど、作戦はどうなの? 上手くいきそう?」


 交渉の為に王の間へ伺う前日、宿にてアカリはそのような事を問いかけてきた。

 アカリは王の間での作戦には参加しない為、会議に参加しないことが多かった。

 その為王の間での作戦をあまり知らない彼女は、少し不安そうな顔を向けている。


「まぁ順調だな。この作戦なら失敗する事はないと思うぞ」

「そうなの? あのパンプキンって人は頭が良さそうだったけど、貴方も作戦会議に参加しているとなると、一気に不安になるわ」

「いちいちうるさいやつだな。俺は別に馬鹿ではないし、仮に失敗したとしても俺の魔法でどうとでもなるだろ」

「それもそうね……。けど、そう考えるとあまりに緊張感のない、つまらない戦いになりそうね。……まぁ、危険がないに越した事はないんだろうけど」


 それに関しては反論の余地がなかった。

 俺の読んできた物語は皆、もう少し緊張感があったはずなのだ。

 主人公と敵役、どちらが勝つのかわからない不安や緊張感、突如として起きる問題に挑む主人公に熱くなり応援する。

 それが俺の物語には足りていない。

 まぁだからなんだといった話だがな。俺の物語の本筋はハーレムを作ることだ。これは単なる寄り道、もう少し気楽に行こう。


「おい、そろそろ寝る準備をしろ。明日は早いんだ」

「わかってるから少し待ちなさいよ。まだ歯すら磨いたないんだから」


 ――


 翌朝、まだ日も登っていない時間に目を覚ました。

 大した事を成し遂げようとしているわけでもない、簡単な任務だ。

 それなのにいつもよりも動悸が早く、いつにも増して早く起きてしまった。


 情けないことに、俺は少しばかり今回の作戦に緊張しているみたいなのだ。

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