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第十六話③

 パンプキン通りへ戻り、早速パンプキンの家を伺ったのだが家の中には誰もおらず、周りを確認しても人の影すら見当たらない。

 

「いないか…何か用事があると言っていたが、この通りの中を探すとなると…正直面倒だな、時間が掛かる」

「第一用事と言っても、この通り内での用事かはわからないわよ。もしかしたらこの通りの外での用事かも……」

「だったら尚のこと急がなくてはならなくなる。街にでも行っているとすればおしまいだ」

「お二人ともどうかしましたか?」

「「え!?」」


 俺たちは同じ方向に、同時に振り返った。

 そこには急いで探していたMr.パンプキンが、探している俺たちを人ごとかのように見つめ、呑気に突っ立っているのだ。


「「どうかしましたか?」じゃなくてだな……何処にいっていたんだ? 探したんだぞ」

「…少し街の方に行っていましたね」

「え、街に!? 貴方、怪我してないでしょうね!」


 アカリは心配そうにパンプキンの体をぐるりと見渡すが、どうやら外傷らしきものは負ってはいないようで、ホッと安心した様子を見せる。


「パンプキン…お前、街でどう言った扱いをされているのか知ってるのか? もう街に行くべきじゃない」

「なるほど…そういうことですか。お二人とも街に行っていたのですね。そこで私の事情に気がついたからこうして…お優しい方々ですね」


 するとパンプキンは、何処か暗い表情を浮かべ始める。俺たちにはバレたくなかったのか、単純に事情を話したくない為戸惑っているのか。


「…街の事を知っていながら、そこに赴くとは違和感があるな。お前の言っていた用事と関係があるのか?」


 我ながら踏み込んだ質問だとは思う。もしそうだったとしてコイツがはいそうですと答えるとは思えない。

 だが俺は、遠回しに何かを問いかける事が嫌いなのだ。無駄に時間が掛かる事になるからな。


「それは何と言いますか…くだらない事ですよ。ここ数年間、隣の国が名前を変えてから続く、些細な言い争いです」

「些細な言い争いか…そういう事ならそれでいい。他人の事情に深く首を突っ込むつもりもないんでな。俺はただ、この世界についての情報が得られればそれでいい」

「その件ですが、早速今から話してもよろしいですか? 直ぐにまた予定が入りそうなので、早いうちに済ませておきたいんです」

「そういうことなら早速話そう。アカリ、ついてきてくれ」

「ちょっと待ちなさいよ。マヤト、あまりに貴方薄情じゃない?」


 アカリはいつもとは少し違った様子で怒った姿を見せるアカリに、俺は少しばかり動揺してしまう。

 じっと俺を見つめるアカリの瞳は、怒りを感じさせる程熱く、それでいて呆れているかのような冷たい冷気も感じさせた。


「パンプキンさん。何があったのか事情を話してくれないかしら?」

「ですから、その件は下らないものだと、、」

「いいから言ってみなさい。この世界の事を教えてもらう代わりとして貴方の問題、私たちが解決してあげるわ」


 かなり面倒な事を、コイツは決心したかのような力強い表情で、言い始めやがった。

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