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第十六話①

 ――


 眩しいほどの日の光に昼間から賑わう群衆、あらゆる食材が並ぶレストランに金や銀などを使用した通貨、パンプキン通りの隣にあるとは思えないほど、バルサッツ王国の首都は、パンプキン通りに影響されず、おおよそ一般的な街の様子を見せていた。


「何だか、ようやく異世界から戻ってきたような感覚だ。不思議と気持ちが落ち着いている」

「とはいえ私たちがいるのは、愛も変わらず異世界な訳だけどね」

「それもそうだな…どうやら無意識のうちに、この世界にも慣れてきているみたいだ」


 確認するかのように街をぐるりと眺めると、ふとある事に気がついた。

 この街に住まう者達は、やけに派手な服を着ていたり、首や腕に豪華で煌びやかなアクセサリーをこれでもかというほど身につけている。

 街に並ぶ建造物も何処か派手さがあり、ふと目に入った建物に関しては、全面金色の塗装がしてあって見るのも困難な程輝いている。

 

 どうやらここに住んでいる者も、この街自体も、皆金に余裕があるみたいだ。


 それは別に問題ないのだが、そのアピールがあまりにも激しい。


 まるで私たちはこの世界の成功者だと高らかに宣言しているかのような、そんな態度で皆は歩いており、何だか見ていて痛々しく感じる。


「何というか…ここはここで少し変わったところがあるみたいだな」

「でもこんなに裕福な街なら、クエストの報酬も大きんじゃないかしら? ここでクエストを受けるのは最高の選択かもしれないわよ」


 それもそうだなと頷いた後、こんな街に住む者達の依頼とはどのようなものがあるのかと気になり始めた。

 クエストの依頼とは、殆どの場合がその街に住む者達の依頼で満たされている。

 時折国を跨いでのクエストもあるが、それらは稀だ。


 貧しい街での依頼はこれからの稼ぎに繋がるような依頼に、既に裕福な国は宝石などの採掘など、大体依頼の相場は決まっている。

 ならばここのような街は、やはり宝石の採掘などといったクエストが溢れているのだろうか。


 俺たちは2人で冒険者組合を探し、見つけた小ぶりな冒険者組合の宿に足を踏み入れた。


 定員などはいるが、あまり好意的な性格ではないようで、俺たちが入ってきた途端少し嫌そうな顔を向けた。

 せっかく休んでいたのに何しにきたんだというように、じっと俺たちを睨みつけてくる。


「何だかあまり歓迎されてないみたいだけど、ここって冒険者が嫌われてるのかしら?」

「そんな様子はなかったが、冒険者の数が少ないのは確かだな」


 この街はある程度の面積があるのに対して、あまりに冒険者組合の数と規模が小さい。

 あまり積極的に冒険者を、というよりも外部の人間を認めていないのかもしれない。

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