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第十五話③

 ――


 翌日、結局あの後直ぐに就寝したが、ラブコメ作品のようにドギマギとした展開もないまま朝を迎えた。


 一応女性の隣で眠るという事は始めてで、緊張するかもしれないと考えたが、余計な心配だった。

 こいつが相手だと特に何も思わず、それよりも寝息すら聞こえなかったので死んだのではないかと、別の意味で不安になっていた。


「あら、おはよう。貴方って案外早起きよね」

「寝過ぎると頭が痛くなるんだ。ある程度寝たら無理にでも目を覚ますようにしている」

「そう、まぁ何でもいいけど、歯を磨いてくるわ」


 まだ寝起きのアカリは少しウトウトした様子で洗面所に歩いていった。

 その間俺は、今日やるべきことの為準備を進めている。


 ――


「さて、そろそろ目も覚めただろ? 出掛けるぞ」


 あれから1時間弱ほどが経過して、すっかり俺たちは目を覚まし、帰宅する為の準備も出来ていた。

 準備が出来ていたと言っても、アカリはこの宿から出る為の準備をしていただけで、この後何をするかはまだわかっていない。


「出掛けるって何処かにいくの? 私はこの通りのお店を周りたいんだけど」

「それもいいが、今日は隣の街まで行ってみないか? 一応ここは『バルサッツ王国』内なわけだからな。首都を見ておきたい」

「……貴方、観光が好きなタイプじゃないでしょ? 何か他に目的があるんじゃない?」


 駄々をこねると思った為、現地で説明するつもりだったのだが、妙に冴えたコイツの勘の事を忘れていた。

 俺は少し迷った末、仕方がなく説明を始めた。


「クエストを受けたいんだ。誰かのせいで金がなくなったからな」

「誰のせいかしらね。そんな事は知らないけど、そう言った事なら1人で行ってきなさいよ。私はこの通りで待ってるわ」


 誰のせいだと言い返そうとも思ったが、そんな事をしている時間はない。

 出来れば今日のうちにクエストを受けて、そのまま今日のうちにクエストを完了させたいのだ。


「店を回るにしても金がいるだろ? お菓子を食うためでもあるんだ」

「…私を説得するのが上手くなったわね。わかったわ。だったらクエスト受けにいきましょうか」

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