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第十五話①

「謝ること? 俺からお前に謝らなければならないことがあっても、お前から謝られる覚えはないが…」


 そう口にすると、パンプキンは何処となく申し訳なさそうな態度を見せる。


「この世界についてお話しさせていただく約束をしておりましたが、それは明日以降になってしまいそうなんです」


 何だそんな事かと肩の荷を下ろして、気安く会話を続ける。


「何だそんなことか別に急ぎでもないんだ。気にしないでくれ…それよりも、どうしてそうなったのか理由を聞きたい」

「それはこちらの事ですので、どうか何も聞かずにお待ち下さい」


 何故だか誤魔化されてしまった。

 話しにくいことなのか、はたまた話すほどの事でもない下らん事なのか、果たしてそれはわからないが、教えてもらう立場の為、そう言われて仕舞えば待つ他選択肢はなかった。


「近くの宿を押さえてあります。代金は支払い済みですので、ゆっくりとお休みください」

「本当か!?……感謝する」


 パンプキンはそっと宿までの道のりが書かれてある紙を渡してくる。

 祭りですっかり金を使い切ってしまった俺たちだったが、パンプキンのおかげでその不安もなくなり、ついテンションが上がってしまった。


「それでは、そろそろ向かうとします。なるべく早く用事を済ませますので、申し訳ないのですがもう暫くお待ちください」

「気にするな。別に数日くらい、どうって事はない」


 パンプキンはお辞儀をした後、ゆっくりとその場を去っていった。

 何処に向かうのかは検討もつかないが、パンプキンの足取りが重かったのは確かだ。


「何か訳ありみたいね」

「そうだな……だが、俺たちが首を突っ込むような事ではない」


 俺とパンプキンか話している間も、バクバクとただひたすらに菓子を食っていたアカリだったが、案外パンプキンの様子には気がついていたみたいだ。


 俺とアカリは少しパンプキンが気がかりになりながらも、何も知らない俺たちが首を突っ込むわけにも行かない為、そのまま宿へと向かった。


 ――


「貴方たち? パンプキンさんが言っていたカップルって?」

「カップルじゃないので違うわね。他の店舗を渡りましょう」

「話をややこしくするな。パンプキンがそう言ってたのなら、そうだろう。部屋へ案内してくれ」


 宿は通りの中では目立つほど大きな場所で、パンプキンの気前の良さが伺えた。

 部屋は決して広くはないがとても清潔感があり、本当に招待してくれたのが、あの汚い家に住んでいるパンプキンなのかと疑問に感じる。


「いい部屋だけど……可哀想な人が1人現れるわね」

「そうだな。どちらか1人がそのような目に遭うみたいだ」


 部屋にある家具は大まかにベッドとテーブルや鏡などだが、それらはそれぞれ1つしか置かれていない。

 つまり、ベッドも1つしか置いてはいないのだ。


 受付で言われた通り、恐らくパンプキンは俺たちを恋人であると勘違いしていたらしい。

 その為大きめのベッドが1つ置いてあるこの部屋をとっておいてくれたのだろう。


 だが、アカリが俺と共に寝ることを良く思うはずがなく、今もとても不快そうな顔をしてベッドを眺めている。

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