第十四話③
「それでは引き続き、祭りをお楽しみ下さい」
そう言ってパンプキンは子供に手を振ってその場から去っていった。
その際も皆と挨拶を交わしたりするなど、通りの方達との交流を絶えず続けている。
「引き続きね……俺はもう十分満足したんだがな」
「何言ってるの? 祭りは21時まで何だから、まだまだまわるわよ」
「……わかった。わかったからもう急かさないでくれ」
そう言ったのにも関わらず、アカリは俺を強く引っ張って次の店へと急いだ。
そう言って2人で商品を見つめるが、明らかに棚に並んでいる商品の数が少ない。
「あれ? もう売り切れちゃったのかしら」
「ごめんねー。ついさっき売り切れちゃったの、あまり物になっちゃうけど、良ければ見ていって」
「随分と早く売り売り切れたんだな。そんなに人気だったのか?」
「それもあるけど、元から在庫が少なかったからねぇ。ほら、国同志のあれがあって、流通に制限が出されちゃったから」
「『あれ』? 何の話だ」
「知らないのかい? ほらつい先日あった……あっ!ただ今!」
話の途中で客人が来てしまい、話は打ち切られてしまった。
何の話か少し気になったが、この通りでも何かしらの事情は抱えていてもおかしくはないと思い、俺は深く追求する事はなく別の店へと渡った。
――
どれ程の時が流れただろうか。
祭り終了のアナウンスが流れた事から、既に祭りが始まってから3時間が経過しているのは確かだ。
それなのに俺の隣に座っている馬鹿者は、未だ食事を続けているのだ。
「もういいだろ……この場を離れたいんだが」
「ちょっとは待ちなさいよ。ほらこれ上げるから黙ってなさい」
そう言ってお菓子を1つ俺に差し出してくる。
このやり取りを先程から10回近く繰り返しており、既に俺は食べれずに貰ったお菓子が溜まってしまっている。
先にパンプキンの家に行っておこうとも考えたが、先に着いたなら、あの小汚い部屋に入らなければならなくなると思い、仕方がなくここに止まっていた。
祭りの屋台も既に撤退しており、先程まで大勢人がいたと言うのが嘘かのように辺りは閑散としていた。
そこに再び、奴は姿を現したのだ。
「最後まで楽しんでいただいたようで、嬉しい限りです」
「……お前、どうやって現れてんだ?」
「そのような事はいいでしょう。それよりも、謝ることがありましてここに来たんです」