第十三話②
「君たち、あまりにも遅いよ」
痺れを切らしたのか、パンプキンは家の外で俺たちを待っていた。
被り物をしている為表情は伺えないが、あまり良い空気は漂っていない。
何せ今ようやく自宅へと辿り着いたわけだが、既に日が落ち始めているんだ。
1時間程度は待たせてしまった事になる。
「すまない…この馬鹿が呑気に食事をとっていたものでな」
「ほぅ……食事をね」
「始めまして、待たせてしまったみたいでごめんなさい。あまりにもお菓子が美味しくて、我を忘れてしまっていました」
アカリの発言を聞いた途端、パンプキンは勢いよくマントを靡かせてこちらへと近づいてきた。
流石に遅れた理由がお菓子を食べていたというのは良くなかった。もっと言い訳を考えておくべきだったのだ。
「何だそういうことだったのか! それなら仕方がない。何せうちの通りのお菓子は美味しいからね! そう言ってもらえて光栄だ!!」
先程の不穏な空気は何処へやら、パンプキンはすっかりと機嫌を直していた。
どうやらアカリの対応が正解だったみたいだ。こんな事で機嫌を直してもらえるとは、何だか焦って損した気分だ。
「早速で悪いが、先程話していた話をこいつに教えてやってくれないか?」
「この世界について、ですよね?貴方が知りたいのではなかったのですか?」
「それはそうなんだが、こう言った事を調べるのはこいつの役割になっているんだ」
今からそんな話を聞かなければならないのかと、アカリは露骨に面倒だといった顔を浮かべたが、自分の役割だというのは事実である為か、口答えはしなかった。
「そういう事なら構いません。ですが、その話はもう少し後でもよろしいですか?」
「別に構わないが……何かあるのか?」
「はい。もう時刻は17時過ぎ、もうすぐ祭りが始まりますので、その準備をしなくてはいけません」
「祭り?」
「そう言えば店主さんも言ってたわね。18時から祭りがあるとかなんとか」
何のことかと首を傾げる俺に対して、アカリは既にこのことを知っている様子だ。
「通りの中央で行われるので、是非2人とも参加して見てください」
パンプキンはそう言って、自分にはやる事があるからと、足早に去っていった。
「何の祭りかの説明もなしか…どうせ菓子が関係しているのだろうが…それでどうする、行くか?」
「当たり前でしょ?お祭りでもお菓子は販売されるみたいだから、しっかりと食べないと」
「お前そんな大食いキャラだったか?それに金はどうするつもりなんだ?」
「本来私は少食何だけどね。何だかここのお菓子は妙に食べれるわ」
「だから金はどうする?」
「…両替するわ」
そう言って俺たちは再び金を両替しに向かった。
この通りに来てから、何だか疲れる事ばかり起きている気がする。