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第十一話①

「まぁいい。ひとまずやる事は決まっている。その場所へ向かうぞ」

「そうね。それじゃあ早速飲食店に向かいましょ」

「何を言っているんだ?先ずはMrs.パンプキンを探すのが先だろ」


 アカリは何を言っているのかといった顔で俺を睨み、睨まれたので俺も睨み返した。


「何言ってるのよ。元々お腹が空いてたから、早くご飯食べに行こうって話だったでしょ?」

「Mrs.パンプキンに会えば、その飯家についても聞く事が出来る。先ずは探すべきだ」

「わざわざ会ってからじゃなくて、先ずはご飯を食べてから探せばいいじゃない」

「そもそもここに来たのは情報調達の為だ。先ずはその確認をだな」

「わかったわ!…なら別行動にしましょ?別にずっと一緒にいなきゃいけないわけじゃないんだし」

「……それもそうか。なら俺はMrs.パンプキンを探しておくから、お前はその間飯を食っていろ。お互いようが終わり次第、ここで集合だ」


 俺はMrs.パンプキンを探すため更に坂を登り始め、アカリは飲食店を探す為に坂を降り始めた。


 お互いそれではまた後でと、軽く挨拶を交わして分かれた後、直ぐそこで人を見つけて声をかけてみた。


「すまない。この通りにMrs.パンプキンといった人物がいると聞いたのだが、何処に住んでいるのか知らないか?」

「Mrs.パンプキン?貴方あの方の知り合いかい?」

「俺は違うのだが、知り合いがそうみたいでな。会いに来たんだ」

「そうかいそうかい。ならここの坂をずっと登りな。ここのてっぺんの辺りを探せばそこで休んでるはずだよ」


 俺は軽く礼を言って、再び坂を登り始めた。

 出来れば「この直ぐ近くにいるよ」と言って欲しかったと心から思った。

 何せただでさえ疲れているのに、また坂を登らさせるとは、本当に苦痛でしかない。

 俺もひとまず飯を食っておければ良かったと言った考えが浮かんだが、俺は先に予定を終わらせてから休みたい人間の為、仕方がなく先へと進む。


 こんな坂の上にも関わらず家はチラホラと立っており、その中に灯りがついていることから、しっかりとそこにも人が住んでいる事がわかった。


 こんなところで住むとなると不便な気がするが、それ程までにここで暮らす理由があるのだろうか。

 そんな思考を巡らせる最中、ようやく坂の最後が見えて始める。


 これ以上先は森が続いているだけで、建物どころか道すら開けていない。

 きっとここが、この通りの最奥の場所にあたるのだろう。


 俺はグッと伸びをして、辺りを見渡す。


「さて……Mrs.パンプキンとやらは、何処にいるんだ?」


 俺は辺りを散策し始めた。

 この付近には、先程と比べて家の数は少なくなっている。

 それはここが最奥の場所であり、坂を上りきった所だといった理由もあるだろうが、恐らくもう1つ明白な理由がある。


 それはここが墓地であるということ、先程からチラホラと見える石が何なのかと見てみると、それら全てに名前が書かれてあり、「安らかに眠れ」など言った言葉が添えられてあった。

 

 恐怖などは特に感じないが、誰かに話を聞くことも困難に思えて、俺はたまらずため息を吐いた。

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