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第九話①

「もういいだろ。それよりも日も落ちてきたんだ、飯の準備と寝る準備を始めないといけない頃合いだ」

「わかったよ。もうイジらないから機嫌直してよね」

「別に怒ってなど……」

「怒ってたの?ごめんね。そんなつもりはなかったの」


 子供をあやす口調で話されると言うのは、アカリのようにキツイ口調で話されるよりも、辛いものがあった。


「でも食事ってどうするの?ここは町でもないから飲食店なんかもないわけだし」

「そんなの、適当な木のみでも探せばいいだろ」

「えー、木の実ってリスじゃないんだから……そうだヒメノさん。何かここに食べれそうな物ってあったりしないかしら?」

「あーどうったかな。アタシもあまり覚えてないんだよね」


 ここにな生まれた時からいるというのに、何故知らないのかとも思ったが、殆どを寝て過ごしている事を考えれば納得がいった。

 皆でどうしようかと考えていると、少し胸を張りながらバーグ達がこちらへと近づいてきた。

 

「食事に関してはご心配なく、我々が用意させていただきます」

「バーグ達が?夢喰い族は夢以外食わないんじゃないのか?」

「そうね。人間が食べるものなんて用意できるのかしら?」

「それに関しては心配いらないよ。何せアタシはいつもバーグ達が用意してくれるものを食べてたんだからね」


 まるで自分のことのように自慢気に話すヒメノの後ろで、我々に任せてくれと言わんばかりにバーグ達は胸を張っていた。


 心配ではあったがひとまずバーグ達に任せる他あまり方法はなかった為、俺たちは食事の用意をお願いした。


 すると少ししてからバーグ達は何処かへと歩いていき、数分ほど経った後に戻ってきた。

 両手には数え切れないほどの木の実と、大きな魚を抱えている。


「そうか。こう言った場所では魚なんかも食料として手に入るのか……ただお前ら、地上向きのモンスターだろ?どうやって捕まえたんだ?」

「我々の運動能力を甘くみてもらっては困る。泳ぐことも、素潜りも可能だ。それも、魚何ぞよりも素早くな」


 こいつらは一体何者なのかと疑問を抱きつつ、料理の完成を待った。

 体に見合わない一般的なサイズのナイフなどを大きな図体で器用に扱いながら、魚を捌いたり、お皿に木の実を並べたりしている。


 何処から用意したのか、フライパンを取り出して、原始的な木を擦るやり方で火をつけた後、そのフライパンを加熱し始めた。

 世界は変われど料理の過程などはそこまでの違いがないのだなと実感する。


 捌いた魚や、よくわからない調味料などを加えてフライパンに入れて、少し火を通す。

 それだけで、やけに美味そうな香りがその場を包み込み始めたのだ。

 

 商店街の定食屋などから香ってくる匂いに似ており、不覚にも先ほどまであった心配といった気持ちは消えて、期待の気持ちはと変わっていた。


「お待たせしました」と言った言葉と共に運ばれてきたのは、焼き魚にトッピングを加えた料理と、きのこや木の実の炒め物、そしてドリンクとして、甘い果実を搾り取ったジュースが提供された。

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