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第八話①

「クラウス様。本当によろしかったのですか?」


 あ?早速俺のハーレムに入って良かったのかと言った話をしているのか?

 そう思っていたが、それは飛んだ早とちりだった事を早々に知る。


「いいんだ。アタシがいなくなってしまったら、君たちが困ってしまうだろ?」

「ですがクラウス様としても、あの者たちに本当はついて行きたいと思っているのではないですか?」


 どうやら話している内容は、ヒメノが本当にここに残って良かったのかと言った話みたいだ。


 出会った時は話を交わそうともしない夢喰い族を見て、自分勝手な奴らだと思っていたが、案外自分達にとって必要であるヒメノの背中を押そうとするなどと言った、優しがある事を知って正直意外だと思ってしまった。


「ついていきたいとは、正直少しばかりは思っている……かな?生まれてからずっとここにいるわけだからね。外の世界が気になるには気になるんだけど……」

「ならば我々の事など気にせず、あの者たちについて言ってください」

「そうですよクラウス様。あの男は信用なりませんが、女性の方はまともそうですし」

「そうですよ。あの女性ならきっと、クラウス様の良い友人になれると思います。あの男はダメそうですが」


 余程俺は信用されていないのだな思い、落ち込みはしないまでも、腹が立ち始めてきた。


「いいんだよ、本当に。今まで皆んなには随分と世話になったんだ。アタシはその恩返しとして、夢を提供するといったことをやめるつもりはない。どの道アタシはほら、長い事眠らないと行動できないわけだしさ」

「我々は随分と長い間、クラウス様に助けられてきました。クラウス様が感謝してくれているように、我々も大いに感謝しているのです」


 お互いがお互いを尊重して、思いをぶつけ合っている。

 互いにリスペクトがあるからこそ、話が簡単には纏まらないのだろう。


 今まで人間関係などには興味が持てず、アニメや漫画でしか思いと思いのぶつかり合いなどを見たことがなかったが、現実でのそれはこの俺でさえ、少しいいものだなと感じてしまう程には、綺麗なものだった。


「もうやめたらどう?満足したでしょ?」


 アカリが盗み聞きをやめるように催促を着てきた。

 もう辞めるつもりではあったので、俺は魔法を解除させてアカリに意識を向ける。


「言われずとももう辞めるつもりだったんだ。どうやら、余計な心配だったみたいでな」

「そう。相手は貴方にとって不都合な事を、話してたりしたの?」

「そうだな…たんに綺麗なやり取りをしているだけだった。今ばかりはそんなやり取りを盗み聞きしていた自分を哀れに感じてしまう」

「何を言ってるの?貴方はいつも哀れでしょ?」

「もうお前は口を開くな。……着いてこい。あいつらに話がある」


 アイツらの話を聞く限り、おそらくあのままでは水掛け論が続くだけで、話は纏まらないだろう。

 仕方なく原因を引き起こした俺が、仲裁に入ってやる事にした。

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