表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

207/231

第六十八話①

 かなり広い範囲を書き記した地図に見えるが、これでこの世界の一部でしかないとなると、この世界の広さは計り知れないなと圧倒させる。

 改めて、俺とアカリの目指す魔王城までの距離の遠さを、実感して息を呑んだ。


 魔法を使えば直ぐに魔王城に辿り着く事はできるが、風情がない。

 だがそれをしないとなると……一体いつ頃の到着になるのだろうか。


 それに、この地図について1つ気になることがあった。


「これは有り難く頂戴するが、1つ聞いてもいいか?」

「はい、何でもお話させていただきますよ」

「では聞くが、これは一体誰が描いたものなんだ? あまりにも広い範囲の記載に、距離や位置関係も正確に見える。ここから眠りの孤島までの距離などを確認してみたが、狂いはなさそうだ。これ程までの物、多くの者たちが協力して書いたとしか思えないが……お前個人が管理しているという事は、そう言ったわけでもないのだろ?」

「……鋭いですね、その通りです。そちらの地図は、Mrs.パンプキンが書き記したものになります」


 Mrs.パンプキンの記したものか。

 何となく察しはついていたが、やはり凄いやつだったのだなと感心する。

 この地図をここまで正確に記したという事は、実際にこの範囲の街や国を巡ったということになるのだ。それも、正確な距離を測り、何処にどう言った街や国があるのかを認識し、そして何より、このパンプキン通りを管理しながらそれを行なっていたのだ。

 並大抵の人間が、個人で出来る技だとは到底思えない。


 これ程の人物となると、Mr.パンプキンが慕っているのもわかる気がした。


「有り難く頂戴するとは言ったが……いいのか? Mrs.パンプキンが書き記したとなれば、ある種形見のようなものになるだろ?」

「えぇ、勿論そうなのですが。この通りを離れる予定のない私よりも、マヤトさんのように旅をする方に差し上げたいと、ずっと前から思っていましたので。ですからお気になさらず……。それに、彼女の形見なら他にもいっぱいありますから」

「そうか……。ならば貰っておく、感謝するぞ」


 少し気が引けるが、せっかくのご厚意だ。ここは貰っておこう。

 まぁ単純に、この地図は欲しい。貰っておきたいといった理由が最たるものではあるが、それは口に出さないでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ