第六十七話②
パンプキン色の灯りと共に、通りの方々の歓声がその場全体に降り注ぐ。
皆はクラッカーを片手に、口々に話をしている。
先程の破裂音はクラッカーの音だったのかと安心していると、通りの方々が一斉にこちらへ近づいてきた。
「いやぁありがとねお兄さん方!」
「話は聞いたよ、あの国王を丸め込んだんだって?」
「いやぁ、まるで英雄だね!」
口々に俺たちへ感謝を伝える通りの方々に圧倒されてしまう。
「申し訳ございません、お2人とも……少し驚かし過ぎたみたいで」
するとパンプキンが、申し訳そうにしながらその場に現れた。
俺は勢いよく「やり過ぎだ!」と言いかけたが、こいつのことだ、悪気があってしたわけではないのだろうと思い、飲み込んだ。
「何事かと思ったぞパンプキン。敵襲にでもあったのかと」
「そうですよパンプキンさん。危うく街へ引き返すところでした」
「本当に申し訳ない。ですが、どうしても皆さんに感謝を伝えたいと思いまして……」
礼の言葉なら既に貰った気でいたが、パンプキンはまだしたつもりでいなかったみたいだ。
そこまでしなくていいのだがと思いながらも、やはり悪い気はしない。
「私1人が感謝を伝えようとも考えたのですが、やはり通りの皆さんにも知ってもらいたいと思い、全てお話したのです。お2人が、この通りを救ってくれた事を」
「持て囃しすぎだぞパンプキン。一番頑張っていたのはお前だろ」
「そう言って貰えるのは嬉しい限りではあるのですが、もし仮にそうだとしても、お2人に感謝を伝えないわけには行きませんとも」
すると再び、通りの方々が感謝の言葉を述べ始める。
「本当に感謝してるんだ……通りは俺の故郷だから、」
「あ、あーそうか。それは良かったな。礼には及ばないから、もう少し離れてくれ」
「本当にありがとねお嬢ちゃん。まだ若いのに、大したものだよ」
「ありがとうございます。皆さんの笑顔をこうして見る事が出来て、頑張って良かったと実感しました」
あまりの勢いに押しつぶされそうになる俺とは対照的に、アカリは愛想良く振る舞っている。
世渡りが上手いなと思っていると、次は皆が各々の店に並んでいるお菓子などを手渡し始めた。
両手では持ちきれない程の量に、俺は圧倒されてしまっているが、アカリは珍しく目を輝かせて喜びを見せていた。




