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第六十四話④

 すると、先程この塔の扉を開けた時と同じように、みるみるうちに中へ中へと鍵穴に入り始める。

 まるで生物に触れているかのような不気味な感触を感じながらも、離さずに開くをのじっと待つ。


 先程も聞いた金属音が聞こえ、扉が開いたのがわかった。ドアノブに手をかけて、回しながら押すと簡単に扉は開いた。


 強い風を感じながら扉を抜けた先を観察する。

 そこには時計の針がちょうど当たることのない位置に、足場と柵が用意されており、風で靡く髪を押さえながらその場に立った。


「おい、お前らも来たらどうだ? 3人ほどなら余裕で立っていられるスペースはあるぞ」

「もう向かってるわよ……。あら、もう日が沈んできたわね」

「あー、確かにそうだな……いや待て、それよりも……」


 日の沈みを確認する為に外へ目を向けると、夕焼け色に染まる街並みが視界に飛び込んできた。

 

 いつもは鬱陶しく思える、街の黄金などの煌びやかな光が、夕陽の優しい光に包まれる事で、まるで祭りの花火ののように温もりを感じさせながら輝いている。

 

 街全体を見渡すことが出来る程の高さにいるからこそ、確認できる景色だろう。きっと女王は、時計塔を見てもらいたかったのもそうだろうが、何よりもこの景色を俺たちに見せたかったのだろう。


 柄にもなく感動しながら視線を横にやると、アカリもじっとその景色を眺めていた。

 俺よりもコイツの方が、こう言ったものに惹かれるのだろう。

 もう俺はある程度満足したわけだが、もう少しだけ、何も言わずにこの場に残ってやる事にした。

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