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第六十三話①

「では、申し訳ございませんが、私は一度通りに戻ろうと思います。祭りに向けて準備をしないといけないので」

「でしたら私も、そろそろ女王としての仕事に戻ろうと思います」

「随分とこちらに力を貸してもらってたからな。仕事が溜まっているんじゃないか?」

「いえ、私の仕事は単純なものが多いので、お気になさらないで下さい」


 女王の仕事で単純なものが多いなんて事、あるのだろうか。気になさらないでと言いながら、女王は気を遣ってくれているのだろう。


「どうするのマヤト。夜まで暇になりそうだけど」

「そうだな……。夜にパンプキン通りに行くのなら、最後に王国を見て回るか?」

「え……もうこの国を離れるのですか?」


 しまった、女王にはその事を伝え忘れていた。女王は驚いたと言ったように目を見開いている。


「あ、ごめんなさい、伝え忘れてました……。明日にはここを出ようと思ってまして……」

「明日!? ……ですか。突然……というわけでもないのですよね。元は旅をなされているとお聞きしてましたし」

「長居しすぎたくらいだ。だから明日には出ようと思う」

「そう言った事でしたら、最後にこの国のおすすめの場所へ案内……あっ! 仕事があるのでした……」

「大丈夫ですよ。こっちで適当に見て回りますから」

「いえ、そういうわけにもいきません。馬車を出させていただきますので、それにお乗り下さい。目的の場所まで向かうようにお願いしておきますので」

「その女王が言っている場所とは何処を指しているんだ?」

「待ってマヤト。それは敢えて聞かないで起きましょ。「楽しみにとっておく」ってやつよ」


 俺は聞いておきたいのだが…まぁいいか。


「でしたら早速準備致しますね」

「では私はパンプキン通りにおりますので、夜にまた会いましょう」

「はい、では後で」


 パンプキンは俺たちに手を振った後、丁寧に女王に挨拶をして去っていった。

 女王は馬車を手配してくるといって王の間へと向かい、俺とアカリは門の近くで馬車を待つ事になった。

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