第六十二話②
再び奴と巡り会うことを考えるだけでも悪寒がしてくる。次に目指す場所は、奴に合わない為にもなるべく遠くを選択した方がいいのかも知れない。
「それで、結局出発は明日にするの?」
「え、あーそうだな。なるべく早いに越した事はないからな。都合が悪くなければ、明日には出発したい」
「そう、なら今日はパンプキン通りに行こうかしら。確か今日はお祭りの日だし、最後に思い出を作っておくわ。幾つかお菓子も買っておきたいしね」
「それは構わないが、金はどうするつもりだ?」
「……忘れてたわ。そう言えば、パンプキンさんに協力ばかりして、肝心の仕事が出来てなかったわね」
アカリが露骨に落ち込み始めたところで、扉が開いた。
「お待たせしまって申し訳……あれ、何かありましたか?」
戻ってきたパンプキンは、アカリの様子を不思議に思ったのか、そのような疑問を投げかけてきた。
事情を話すと、パンプキンは何を言っているのですかと言って、話を始めた。
「私はお2人に感謝しているのです。明日のお祭りは、お金のことなんて気にせずお楽しみください。全て、私がお支払い致します」
「そんな……流石にそれは……」
「遠慮なんてしないで下さい。あの後も国王様とお話が出来て、通りの未来は明るいものになりつつあります。それらは全て、マヤトさんとアカリさん、お2人のおかげなんですから」
「別に全部が私たちのおかげだなんて思っていないですよ。私としては、パンプキンさんが一番頑張っていたと思います」
「そんな事ありません。もし仮にそうだとしても、私は通りの長であり、頑張ることは当然のことです。ですが、本来無関係でありながら、お2人は手を差し伸べて下さった。この恩は忘れません。些細ではありますが、そのお礼をさせていただきたいのです」
アカリは未だ、遠慮を見せている。
「そこまで遠慮する事はないだろ。手伝った事は事実なんだ、ここは素直に礼を受け取っておこう」
「……そうかしら」
「こういうのは、しっかりと礼を受け取った方が後腐れがなくていいんだ。第一、ここで甘えておかないと菓子が食えないんだぞ?」
「……それもそうね。じゃあパンプキンさん、お願いしてもいいですか?」
「勿論です。今日は存分に楽しんで下さい」




