第六十二話①
「はい、て事で一件落着ね!」
街と通りの件についての話し合いが纏まりつつあったので、最後はこれからのことも考えて、この国の関係者のみで話し合うべきだと思い、俺たちは3人を残して王の間を後にしていた。
その際、女王に部屋を好きに使っていいと言った許可も得たので、遠慮なく女王の部屋でくつろぎながら3人を待っていた。
「それにしても、上手く纏まったものだな。あの様子なら、通りも安泰だろ」
「そうね、国王様もようやく少しは大人になっただろうし、これからは……まぁ、喧嘩はするかも知れないけど、前みたいな酷い事は起こらないと思うわ」
「正直、鼻が高いんじゃないか? お前がきっかけで、2人は今も話し合いができているんだ。通りを救ったと考えれば、英雄のようなものだぞ」
「そこまではいかないけど、少しだけ、我ながら良くやったと思うところはあるわ」
謙虚ながらに自分の功績を口にした後、アカリは一気に疲れた様子を見せた。
全てが解決して、ようやく肩の荷が降りたのだろう。
俺は王国騎士長の件が片付いた時点でオフモードとなっていたので、アカリ程のリアクションは取れないが、少しばかり、「ようやくこの場所での一件を解決したのだな」といった、達成感のようなものを感じていた。
「いよいよ……この街ともおさらばだ。恥ずかしい話だが、少しばかり寂しさを感じてしまっている」
「そうね……。期間にしてみれば短かったけど、あまりにも濃い毎日だったからかしら。物凄く長い間、この街に滞在していた気分になっているわ……」
「あー、そうだな。…それで、出発はいつにする?」
「あんたね……もっと思い出に浸るとか出来ないわけ?」
「そんな事はいつでも出来るだろ? 俺たちの旅はまだ10分の1も進んでいないんだ。先へ先へと進まないと、いつまで経っても物語が終わらないぞ」
「物語の終わりね……そう言えば魔王退治が一旦の目標だったかしら? 考えてみれば、まだ魔王軍にすら出会えていないわね」
「それもそうだが、一番大事な目的は俺のハーレムを作る事だろ? この街ではそのハーレム候補が1人も見つかっていないんだ。本来なら、今直ぐにでも出発したいところだぞ」
「あんたのハーレムなんて知った事ないけど……。あっ、いたじゃないハーレム候補、あの王国騎士長さんとか」
「あんな奴をハーレムに加えてたまるか。……出来ればもう会うことすらごめんだが……どうなるか……」
アイツはまだ捕まってすらいない上に、俺のことを諦めてはいない様子だった。
今後俺たちの目の前に再び現れてもおかしくはない。




