第六十一話①
「そんな理由で……そんな理由で、何度も私たちの通りを、危険に晒したのですか……」
「全て事実だ。街と通りの一体化を目指して、それを否定されてからは、怒りに身を任せて動いておった。本当に申し訳ない事をしたと思っている」
国王のその発言にパンプキンは怒りを見せながら、その場から離れようとする。
すると、アカリが止めに入った。
「どうして止めるのですかアカリさん……。話すだけ、無駄じゃないですか」
「呆れるのも無理はないわ。だけど、通りの為にも話し合うべきよ」
「……話が良い方向に進むとは思えません」
「大丈夫。国王が信じられないのなら、私を信じなさい。私は国王に、2度とふざけた真似をさせるつもりはないから」
この強い発言に、パンプキンは完全に同意した素振りを見せないまでも、再び会話ができるように戻ってきた。
どうやらアカリは、今日、国王とパンプキンのわだかまりを無くし、街と通りの今後を良い方向へ導こうとしているみたいだ。
「……わからないな。どうして無関係のお前が、そこまでするんだ?」
「ここまで首を突っ込んだから、もう無関係ってわけじゃないでしょ?」
「本当に理由はそれだけか?」
「……強いて言うなら、思いは一緒なのにすれ違っている姿が見てられなかったのよ……」
だからわざわざ、話に参加してあげていると言うのだろうか。そんな理由では、俺が動くことはないだろうなと考えながら、少しばかりアカリの主人公としての器に、嫉妬心を覚えた。
「まぁそれに、通りにもしものことがあったら美味しいお菓子が食べれなくなるじゃない? それが理由よ」
「別に誤魔化す必要はないだろ。きっと……立派な行いなのだと思うぞ」
「柄にもなく褒めないでいいわよ。別に、褒められるような事をしてるつもりはないしね」
褒められる為にやっていないというのは、実にアカリらしいな。
そんな事を考えている最中にも、国王とパンプキンの話は少しずつ進んでいる。




