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第六十話②

「我としては、この街とパンプキン通りの壁を無くし、1つの街にしたいと考えているのだ。決してどちらか一方の街をもう片方に取り込むような真似をするつもりはない」

「そもそも分かりませんね。通りの事をよく思っていなかった国王様が、どうして急に通りとこの街を1つに、なんて言い出したのかが」

「それは……それはじゃな……」


 当然の疑問で、俺もそこは気になるところだ。

 国王は何やら言い淀み、俯いている。


「ほら、国王様! ちゃっちゃと言っちゃいなさい! いつまで経っても話が進まないわよ!」


 事情を知っているであろうアカリがそう叫ぶと、「簡単にいってくれる……」と不満そうにしながら、国王は口を開いた。


「我は……通りを尊敬しておるのだ。だから……通りの風潮を、この街にも取り込みたいと考えておる」


 国王の発言が信じられないのか、パンプキンは直様問いかける。

 

「いくつか聞きたいのですが、通りのどういったところを尊敬しておられるのですか?」

「どのようなところか……言い始めたらキリが無いの。街の仕事と娯楽に対するメリハリ、民の明るい表情、国外からも客人を呼び込めるほどの話題性……」


 その後も暫く、国王は通りの良さについて語り続けた。

 パンプキンはそんな態度を見せる国王に対して、驚きを隠せないようで、暫くの間返事を返さずにじっと固まっていた。

 

「どうじゃ、分かってくれたか? 我が街と通りを1つにしたいと考えるわけが」

「えー……分かりました。理由も、その熱意もね……」


 国王の発言に圧倒されたパンプキンは、国王の街と通りを1つしたいといった発言を、疑う事はやめたみたいだ。

 だが、まだ何か引っかかっている様子。国王もそれに気がついたのか、「遠慮せずに、そちら側も何でも聞いてくれ」と要求する。


「……では、話させていただきます。国王様のその通りに対する、いわゆるリスペクトのようなものは伝わりました。ですが、尚のこと分からなくなったのです。今までの国王様の行いが」


 それは、国王が今まで通りにしてきた行いについて言っているのだろう。

 国王は元々、通りを崩壊させようとしていた。過去をさらに掘り返せば、Mr.パンプキンの先代であるMrs.パンプキンとも争ったと言われている。

 通りにリスペクトがあるのに対して、その行動はあまりにも妙だ。


 パンプキンの質問に対して何と答えるのか、この場にいる殆どの人間が、真剣に耳を傾けた。

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