第五十九話①
「私も無理を言ったみたいで悪かったわね。急に理解して行動しようとしても、なかなかそれを実現出来るわけではないことを考慮していなかったわ」
「お前が謝ることではない。我が不甲斐ないのがいけないのだ」
「それはそうね。同意するわ。だからせめて、今この場で一歩先へ進みなさい。その後に、パンプキンさんと話をするの」
容赦のない言い回しをしつつ、パンプキンとの対話は元から決まっていたことかのように話を進める。
「一歩先へ……何か方法はあるのか?」
「仲直りするのよ。2人でね。どうせ今までしたことないんでしょ?」
その発言を聞いた途端、国王と女王は目を合わせて、直様また逸らした。
お互い何というか、恥ずかしがっているかのような、なんとも落ち着かない雰囲気を見せていた。
大の大人が謝ることもできないのかという者がいるかもしれないが、大まかに照れている理由は理解出来た。
大人になるにつれて、小学生の頃に出来ていた喧嘩の後の仲直り、つまりは謝り合うような事をしなくなっていく者が多いのではないだろうか。
大人になるにつれて、時間に解決を任せたり、苛立ちを飲み込みながら関係を続けたり、なんならもう会わなくなったりする。それが大人といった生き物なのだと俺は思う。
ならば何故、子供の頃のように仲直りが出来なくなるのか。
プライドだろうか、必要性を感じないのだろうか。その他理由は様々あるだろう。
だが結局、この2人のように、謝り合うことは何だか小っ恥ずかしいのだろう。
近い関係であればある程、相手に自分の真面目な部分というか、畏まったところを見せるのが恥ずかしくなり、こうなってしまう。
俺自身はただ単に相手に負けた気がするから、謝るのが嫌いなわけだが、この2人は照れているのが丸わかりだ。




